古いものが大好きで、リノベに興味津々だった妻に対して、夫は賃貸派だったというM邸。とはいえ、以前住んでいた賃貸の部屋を「画一的で面白くない」と感じていた夫は、様々なリノベ事例を見るうちに心が動かされ、妻の熱意に押されて中古マンション購入+リノベーションを決意。物件探しからワンストップで依頼できる会社を探していたところ、雑誌で知ったnu(エヌ・ユー)リノベーションの完成見学会に参加して、依頼をすることに。都内にある築33年の大規模マンションの一室を購入し、予算内に収まるよう調整を重ねながら理想の住まいを手に入れました。
すべての画像を見る(全8枚)躯体現しでラフに仕上げたLDK
それぞれの職場へのアクセスのよさ、敷地内の豊富な緑、そして貫禄あるシンボルツリーに惹かれてマンション購入を決意したMさん夫妻。
古いものや経年変化で味が出るものが好きで、リノベへの熱量が高かったという妻は、ピンタレストなどを駆使してイメージを膨らませ、自ら20~30枚もの絵を描いて担当デザイナーにリノベのイメージを伝えました。
そんな妻が細部にまでこだわったLDKは、コの字型キッチンが主役の明るい空間。16階という高さのうえ、隣の棟と距離があり、カーテンなしでも気兼ねなく暮らせます。
リビングには大小さまざまなグリーンが配置され、リラックスできるスペースに。以前は個室だった部分の壁を取り払い、リビングに取り込みました。
躯体現しのクールな天井には、京都にアトリエを持つ、照明や生活金物の工房「千」の真鍮の照明を。
キッチンには妻のこだわりが満載
料理好きの妻がこだわった大きなコの字型キッチンは、家族団らんの中心に。キッチン天板とテーブルの高さを揃えたいという希望から、リビングの床を10cmアップ。
妻がサイズを測って絵を描き、細かくオーダーしたという徹底したこだわりが形になりました。
IH調理器と食洗器、水栓は既存のキッチンに付いていたものをリユース。収納はすべてオープンなので、どこに何があるかひと目で分かって便利なのだそう。
また、キッチン腰壁に張った化粧板は、妻いちばんのお気に入り。アメリカのカフェの写真からイメージしてオーダーしたもので、2色のオイルをランダムに塗ってラフな印象に仕上げています。
ダクトレールに吊るしたドライフラワーや存在感あるチェストが、躯体現しのクールな空間にマッチしています。
優先順位をつけてコストコントロール
玄関は廊下だった部分を取り込み、広々としたモルタルの土間に。下駄箱代わりのロッカーは、実はオフィス用。中古のオフィス家具を扱うオンラインストアで購入したもので、隣に並べたアンティークのチェストともよく似合っています。
そして、玄関を入った先にはLDKに続く廊下があります。妻はキッチン天板の高さやデザインを決める際に、玄関や廊下からの見え方にもこだわったのだそう。
キッチンスペースの奥には、背の低い壁を交互に立ててゆるく仕切ったふたつの子ども室があります。ウォークインクローゼットを設置する予定でしたが、コストの関係で先送りに。いずれ自分たちで手を加えることを楽しみにしているそう。
現在、右の部屋はプレイスペースとして、左の部屋は多目的室として使っています。
使い勝手のいい洗面化粧台は既存のものをそのまま利用。以前の持ち主が3年前に水回りをリフォームしていたため、洗面台とバスルームは設備だけでなく建具や床材、クロスまで既存利用できるほどきれいな状態でした。
水回りを既存利用してコストカットする分、妻こだわりのキッチンに予算を投入して、予算をコントロールしています。
夫が予算管理をしながら、妻はキッチン中心に徹底的にこだわりを伝えるという二人三脚で、無事予算内で理想の空間を実現できたMさん夫妻。「リノベは何事も優先順位をつけるのが大事。今回予算が足りなかった箇所は手をつけずに、2回目のリノベに楽しみを取っておこうと思います」と話してくれました。
設計・施工 nu(エヌ・ユー)リノベーション
撮影/水谷綾子
※情報は「リライフプラスvol.31」取材時のものです