夫の両親宅で同居をしていた山口さん一家は、自分たちの好みの空間で暮らしたいという憧れが募り、家を持つことに。運よく、実家から徒歩圏内にある団地内の格安住戸と出会い、400万円で購入しました。リノベーションはタマイアトリエ・玉井さんの設計です。工事費670万円(税・設計料別)で、好きな空間で過ごす喜びと安心感の両方を手に入れることができました。

目次:

LDKの壁やキッチンの腰壁が空間のアクセントオープンシェルフで仕切って開放感を演出暗い玄関、狭いサニタリーにもひと工夫

LDKの壁やキッチンの腰壁が空間のアクセント

オープンシェルフの仕切り
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東日本大震災をきっかけに、夫の実家で同居をしていましたが、新居を構えるにあたっても安心感は保っておきたかったため、実家のすぐ近くに暮らすことを選択。長い間リフォームされていなかった格安住戸を手に入れ、リノベーションをスタートさせました。

大勢でも囲めるダイニングテーブル

LDKをできるだけ広くするために、間仕切りを取り払って、廊下だったスペースも部屋に組み入れることに。そのおかげで、妻の念願だった対面式キッチンを設置でき、またリビングダイニングはコンパクトながらも居心地よい空間に。
設計担当の玉井さんがデザインしたロシアンバーチ合板の円卓は、夫の両親が訪ねてきてもみんなで囲むことができます。テーブルの周りには意外にゆったりしたスペースがあって動きやすいそう。

腰壁高めのキッチン

対面式のキッチンは少し高めの腰壁で隠して、見た目をスッキリさせました。独特のムラのある仕上げは、タマイアトリエがDIYしたもので、木部用のオイルを使用しています。また、キッチンのすぐ脇に洗濯機置き場を新設。使わないときは隠せるように、引き戸を設置しています。

古い鉄筋コンクリートの建物らしく、LDKには太い梁がありました。当初は空間づくりのじゃまになるのではないかと心配しましたが、そのおかげで陰影や景観に変化が生まれ、「これはこれで気に入っています」と夫は話します。
また、LDKの壁には存在感のある古材風のフローリング材を張って、家のトレードマークに。床にもエイジング感のあるフローリングを選び、雰囲気を合わせています。最上階なので天井を高くすることができ、解放感あるLDKに仕上がりました。

オープンシェルフで仕切って開放感を演出

個室との仕切りはオープンシェルフ

リビングの隣の個室は、将来は夫婦の寝室になる予定ですが、全員一緒に寝室で寝ている今は、特に用途を決めないゆとりのスペースとして使っています。リビングと個室の間には、両面から使えるオープンシェルフを設置。空間を緩くつないでいるので、狭苦しさを感じさせません。
独立性を高めたくなったら、ボックスを入れるなどして視線をコントロールすることもできます。

仕切りのないWIC

その個室内にあるウォークインクロゼットに、衣類や小物は集中して収納。部屋との仕切りを設けず、床を連続させたことで部屋が広く感じられます。
また、クローゼット内の壁は玉井さんが木部用のオイルでニュアンスある表情に仕上げました。実は、ここで練習してからキッチンの腰壁に臨んだそう。

造り付けロフトベッド

今はこちらの玄関横の部屋に家族全員で寝ていますが、将来は子ども室にする予定。下に机を並べることを想定し、ロフトベッドを造り付けました。

暗い玄関、狭いサニタリーにもひと工夫

白い塗装で明るい玄関

暗くなりがちな玄関は、白い塗装で明るく演出。「玄関の壁は、いずれ自分たちで塗ってイメージを変えるのもいいなと思っています」と夫。

シンプルな洗面台

サニタリーへは廊下からアクセス。シンプルな洗面台を選んだことで、コンパクトな洗面室も広く見せることができています。白木のミラー兼収納や、船舶用照明で雰囲気よく。

省スペースな水まわりの工夫

浴室が狭く、入れられるユニットバスがなかったのですが、サンワカンパニーの「コブロ」という浴槽なら収まると分かり、タイル張りの浴室に仕上げました。ダクトを取り付けて換気扇も新設。トイレは省スペースのため引き戸に変更しました。

実家には、月に何度か子どもたちを連れて遊びに行ったり、買い物の際に数時間預かってもらったりしていて、お互いのペースを守りながら気持ちよく暮らせているとのこと。
自分たちのお気に入りの空間と、夫の実家が近い安心感、その両方を手に入れて充実した暮らしを楽しんでいる山口さん一家です。

設計監理 タマイアトリエ 玉井清
撮影 飯貝拓司
※情報は「リライフプラスvol.20」取材時のものです

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