都内の便利な場所に中古物件を買って、リノベーションして住みたい。そんなNさん夫妻が選んだのは、東急線の3駅が徒歩圏内の住宅街の一角。建物の雰囲気や管理状態のよさを気に入り、見晴らしのよい52平米の角部屋を購入しました。設計は、アパレル会社で店舗ディスプレイの仕事をしている妻がベースを手がけ、コンパクトな空間を無駄なく使えるプランに。リノベーションは大和工芸に依頼し、妻の設計をベースに工事費800万円(税・設計料込み)で理想をすべて詰め込んだ空間を手に入れました。

目次:

オープンスタイルのキッチンで開放感あるLDKに寝室はあえてつくらず、唯一の個室はゲストルームに省スペースを追求した玄関と水まわり

オープンスタイルのキッチンで開放感あるLDKに

スッキリしたオープンキッチン
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物件の専有面積は約52平米。もうすぐ第一子が誕生する夫妻にとっては決して広い面積ではありませんでしたが、コンパクトな空間を無駄なく使えるよう知恵を絞りました。玄関を入ってすぐの場所にあるキッチンは、吊戸棚をつくらずオープンスタイルに。その代わりにザ・コンランショップで購入したバスケットやイケアの棚を壁に取り付けて、見せる収納で収納量を確保しました。
ヘンリボーンの床にマッチしたダイニングセットは、北欧のデザイナー 、イルマリ・タピオヴァラのヴィンテージ品なのだそう。

躯体現しの天井

既存の天井を抜いて高さを出し、躯体現しにすることでさらに広さを感じられる空間に。梁には薄いグレーのクロスを張ってアクセントにしました。
「この梁がリビングとダイニングを緩く分けてくれて、結果的に空間にメリハリが生まれました」と夫。

飾り棚をAV機器収納に

入居当初はテレビを置く予定はなかったそうですが、妻の妊娠を機に購入。飾り棚を利用して、AV機器をうまく収めています。

ウォークインクロゼット

LDKには、妻が「絶対確保したかった」という待望のウォークインクローゼットを設置。ゲストルームを最小限の広さに抑えたことで、約50平米の間取りでもこのスペースを実現できました。

寝室はあえてつくらず、唯一の個室はゲストルームに

リビングの一角をベッドスペースに

あえて寝室をつくらず、リビングの一角をベッドスペースにしました。ベッドは無印良品のスモールサイズを2つ並べて配置。レイアウトによって分けて置いたり、子どもが成長したら買い足したりできるなど、自由度を考えてのこと。

ヘンリボーンの床

床はナラの無垢フローリングをヘンリボーン張りにして、通常のフローリングよりも空間が表情豊かな仕上がりに。床材はショールームで確認し、幅や長さにもこだわっています。
また、ベッドサイドの高い位置にコンセントを取り付け、スマートフォンの充電がしやすいように工夫。スイッチ類も、空間に似合うシンプルなデザインにこだわって選んでいます。

大きな観葉植物

室内のアクセントにもなっているグリーンのディスプレイ。ベッドスペースにまとめておくことで、大ぶりな鉢植えでも圧迫感がありません。

ゲストルーム

ベッドスペースのとなりにある、唯一の個室はゲストルーム。親族や友人など来客が多いため、コンパクトながらもベッドを置いて泊まれるようにと、約3.5畳の空間を確保しました。「この部屋だけ、かわいいインテリアにして楽しんでいます」と妻。

省スペースを追求した玄関と水まわり

下駄箱なしの玄関

玄関は限られたスペースを活用するために下駄箱はあえて造作せず、オープンな収納棚に。玄関の先にあるキッチンの対面には、キッチンと同じ高さの棚を購入して設置。ダイニング側からは見えないようになっていて、ごみ箱や食器類はこちらに収めています。

サニタリースペースへの扉

サニタリースペースへはLDKからアクセスしやすい位置に。アメリカンな雰囲気が気に入っているというドアノブは、輸入建材ショップ、ジェイマックスで購入しました。インターホンは壁の色に合わせて黒をチョイス。

3in1サニタリー

洗濯機、トイレ、洗面台はひとつの空間にまとめることで、ゆったりしたスペースを確保。収納は造作せず、棚や収納ボックスを活用しました。3in1のサニタリーに続く浴室は、パナソニックのシステムバスの中でも最もコンパクトなタイプを採用しています。

実際に住んでからのインテリアは、妻の膨大な情報収集の賜物。仕事柄、普段から「ピンタレスト」や「インスタグラム」などを活用して国内外のインテリア画像を収集しているという妻が先導して、夫妻好みのインテリアに仕上げています。
工務店とそのイメージを共有しながら、ニューヨーク風リビングと北欧風ゲストルームを実現。約52平米というコンパクトな箱に、叶えたい事すべてを詰め込んだN邸でした。

設計・施工 大和工芸
撮影 山田耕司
※情報は「リライフプラスvol.19」取材時のものです