約84平米のややコンパクトな敷地を購入したOさん。優先して地下空間をつくり、地上2階+地下=延床面積約113平米を確保!妻念願のヨガスタジオを実現したお宅を紹介します。
地下空間は建ぺい率を問わず!ヨガスタジオに活用
育ち盛りの2人の子どもがいるOさん。妻は数年前からヨガを幅広い層に教えていて、自宅にヨガスタジオを持つのが夢でした。出会った敷地は約84㎡と広くはないけれど、最初から地下空間の設置を描いて購入。
地下なら建ぺい率を問わないので、ほぼ敷地いっぱいの広さを計画し、ざっと34畳のワンルームを実現しました!待望の地下空間。週末は家族とヨガを楽しんでいます。
妻の背後には空間幅に合わせたミラーをつけ、自分のポーズを確認できる仕組み。ミラーの裏もざっくばらんな収納に活用しています。
壁一面のミラーは、空間を広く見せるのにも役立っています。
地下空間は、掘削・RC構造、防水……と費用がかかり、地下だけで2階建てと同様のコストがかかったそう。
「わが家の優先順位のトップは地下なので、まず地下をつくり、残りの予算で1・2階。そんなイメージでした(笑)」と夫は話します。また、地下は暑さ寒さの影響を受けにくいので、夏はみんなここで寝ているそうです。
地下は防音性に優れ、映画鑑賞や楽器の練習にもオススメ
地下は家族のシアタールームにも。プロジェクターから堂々120インチのスクリーンに映像を投影! 映画鑑賞は空間の暗さが肝心なので、通風を確保しつつ光を遮断しています。
こちらは、吹奏楽のクラブでトロンボーンを担当している長男。思う存分音を鳴らして練習しています。
趣味の自転車レースのトレーニングにも活用する夫。その周りをくるくる回る長女もトレーニング?
壁面が広いので、収納もゆとりが感じられます。
1階LDKは大胆に吹き抜け、上から光も!風も!
階段を上がって1階へ。1階はLDKと水回り、サンルームで構成。空間全体を2階まで吹き抜けたLDKは、のびのびとして開放感がいっぱい!サンルームのある南側は隣家が迫るため、2階の開口とトップライトで安定した光を取り込んでいます。
2階から見たLDK。料理をつくると、上にいいニオイが上がってきそうですね。
吹き抜け部分に面した2階は、子ども室を兼ねたフリースペース。「冬はとても温かなので、遊牧民のように下から移動し(笑)、寝室として使っています」と夫。なおスリムなスチール製の手すりは、久保さんのデザイン。
1階北側の玄関付近。
モンドリアン風のアートは、やはり久保さんデザインの「壁に飾れる椅子」。合板製で、必要時に椅子部分を取り外し、組み立てて使います。下の写真もそのひとつ。省スペースに貢献するモダンアートです。
玄関の上部空間を巧みに活用した自転車収納も注目。天井の吊り下げ収納もグッドアイデア!
地下の大空間を想像しにくい外観。道路側は視線に配慮して窓を設けず、エントランスをキャンティ(片持ち)で設置し、個性的なアクセントに。なお駐車場は、地下のRC躯体を利用しています。
コストのメリハリをつけて、見事、地下に大空間を実現。地下は日々多用途に活用され、満足度バッチリのO邸です。
設計/H2DO一級建築士事務所
撮影/桑田瑞穂
※情報は「住まいの設計2017年7-8月号」取材時のものです