結婚するとたいていの場合、「実家」の数は“2倍”になりますよね。ますます少子高齢化が進む今後、実家をどうするかは切実な問題。ですが、ポジティブに捉えれば、愛着のある家を住み継ぐこと、家族が集まって住むことは、とても喜ばしい選択ではないでしょうか。今回は、実家をリノベーションした、建築家 田所裕樹さんの自宅を訪れ、実家リノベや二世帯住宅のヒントを探ります。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家
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目次:

建築家の父が建てた家を、2段階に分けてリノベーション両親の住まいは2階。夫婦ふたりが暮らしやすい空間にリノベ子世代と親世代のインテリアをリンクさせて

建築家の父が建てた家を、2段階に分けてリノベーション

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

田所裕樹さんの父親は建築家で、昭和52年にこの家を設計したそう。新築当時から二世帯住宅で、1階に田所さんの祖母、2階に両親と兄と田所さんが住んでいました。時が流れ、次男である田所さんは、父と同じ建築家に。
結婚後は実家を離れていたものの、長女の誕生をきっかけに戻り、空いていた1階に住むことに。しばらくはそのままの状態で暮らし、数年後にフルリノベーションしたそう。
中はどのようになっているのでしょうか?

両親の住まいは2階。夫婦ふたりが暮らしやすい空間にリノベ

築30年を迎え、リノベーションは2段階に分けて行われました。第1段階は、父の依頼を受け、田所さんの設計で両親が住む2階を着手。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

「父が設計した家の魅力を、最大限引き出したい」と考えた田所さん。個室の間仕切り壁を撤去し、ロフトからも光が降り注ぐ、明るく開放的なリビングに。中央のローテーブルは、田所さんが製作したものだそう!

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

リビングとダイニングの間は強化ガラスのパーティションで仕切って、ゆるやかにゾーニング。ロフトへは、階段だんすのような収納棚を使って上がります。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

2階親世帯のキッチンは、ステンレスと配管以外は田所さんがDIYで製作したそう。ダイニングの収納を充実させ、収納と一体化したスライド式のテーブルを置きました。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

コンパクトながら落ち着いた雰囲気の玄関。二世帯住宅ながらも玄関は別々のようです。

子世代と親世代のインテリアをリンクさせて

第2段階はその4年後。今度は自分たちが住んでいる1階のフルリノベーションに踏み切りました。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

断熱材を入れ、サッシをすべてペアガラスに交換して、省エネと快適さを追求。また、限られた床面積に広がりを持たせるために、庭にデッキを大きく張り出させ、リビングを外まで広げました。

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

シンクとカウンターを一体化させたシンプルなI型キッチンは、吊り戸棚がなくても収納量は十分!

実家をどうする?建築家の父が建てた家を「丁寧に住み継ぐ」家

「新築して間もなく、父がつくったんです」というガラスの階段室でつながっている上下階。玄関は別々ですが、子ども達がいつでもおじいちゃん、おばあちゃんに会いに行けますね。
家具や収納はDIYで製作することで、親世代、子世代ともに、インテリアに統一感を出ている田所家。こうして、二世帯三世代が快適な生活を手に入れることができたようです。

設計/田所裕樹建築設計事務所
撮影/飯貝拓司
※情報は「リライフプラスvol.22」取材時のものです