持続可能な社会をつくるための「SDGs」という言葉が注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。
今回のテーマは「紙」について。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんに、身近にできる工夫についてつづってもらいました。
紙ゴミを減らすためにできること
先日あるカード会社から、こんな通知が届きました。
「紙の削減による自然環境保護推進のため、明細書を郵送からWEB明細へ順次移行します。郵送による明細書をご希望の場合、1通あたり○円かかります。」
どちらかというと“紙大好き派”の私ですが、有料となるとちょっと考えます。支払い内容はパソコンで確認できるし、必要なら自宅でプリントアウトすればいい話。すぐにWEB明細に切り替えました。
銀行でも新規に通帳をつくる場合は有料というところが増えてきました。
デジタル化が進むのは自然な流れだと思いますが、まだまだ紙って多いですよね。
わが家から出るゴミの中でもトップクラスは、紙かプラスチックです。
テレビの現場でもスマホを見ながらリポートする記者が出てきたりと変わりつつありますが、番組のスタジオ台本やニュース原稿は紙が主流、ペーパーレスになるまでにはまだ時間がかかりそう。
そんななか、今年3月7日にゴミゼロをテーマに放送された番組「地球HEROES」は画期的でした。ゴミを減らして地球を救う! というテーマなだけに、まず番組セットがみんなゴミ(廃材)!
生放送なのにMCのEXITが紙の台本ではなくタブレットで進行し、カンペ(進行のためのメモ)もモニターに映し出す仕組み。やってみたら、とくに問題なし。印刷の手間も紙ゴミも減ってよかったそうです。
●日本の紙の生産量は、世界第3位
日本の紙の生産量は、中国・米国についで世界第3位。国民一人当たりの消費量も年間201kgと世界平均の56kgを大きく上回ります。(WWFジャパン公式サイトより)
紙の原料といえば、木材(パルプ用材)。今、世界では毎年すごい勢いで森林が伐採されています。2000年から2010年では、年間平均約521万haの森林面積が消失しました。1時間に東京ドーム127個分に相当する森林が減少しているそうです。
森は、二酸化炭素(以下CO2)を吸収して酸素にしてくれます。菅総理は、「2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする」ことを宣言しました。
CO2をはじめとする温室効果ガスは、一概に“悪いヤツ”というわけではなく、地球のまわりを温室のように覆って地球を暖める効果があり、だからこそ私たちは生きられるのです。ただし増えすぎると地球が熱くなりすぎてしまい、異常気象による台風・豪雨・山火事などが発生します。
なので、そのCO2を吸収してくれる森林はとても大事な存在。CO2排出量をゼロにはできないなら、出した分を“吸い取る”ことで「チャラ」にしよう(カーボンニュートラル)ということをうたっています。
つまり紙を減らすことは、森林が減って行くスピードを遅らせることになり、地球温暖化を防ぐことにつながるのです。
【皆さんにもできること~紙編~】
・新聞紙、雑誌・ダンボールなどは古紙回収日に出す
※そのひと手間で紙は再生されます!
・請求書などをWEB明細に切り替えよう
※書類がなくなりスッキリ
・オフィスや自宅での印刷もできるだけ裏紙を使用
・紙袋や過剰包装を断る
・しっかりした紙袋や箱は収納に使う
・トイレットペーパーやティッシュを使いすぎない
・お店のポイントカードのアプリ版があれば切り替える
・裏紙をメモ帳にして活用
私は家で不要になった紙をリユースしています。テンプレートを使って、包み紙やおしゃれな広告などで封筒やポチ袋を手づくり。小物や小銭などを渡すときに重宝します。
ESSE1月号の付録のポチ袋ももちろんつくりました。さらに、型紙(テンプレート)を、ストッキングの中に入っている厚紙に残して、その後も“量産”しています。
プラスチックや水に続いて、紙もか! と思われるかもれませんが、デジタルに移行した方がより便利になることもあるし、紙を捨てる前に楽しく活用してみるのもSDGsに通じる大事なアクションです。ぜひ、まだ実践していないことがあれば今日からやってみてください!