多くの人が悩んでいる「実家の片づけ」。親子がゆえに感情的になってケンカになりやすいのが特徴です。捨てるものと理由をノートに書くメソッド「お片付けノート」を考案した整理収納アドバイザーのmocaさんも、実家のお母さんの片づけには悩んでいたそう。
しかし、親戚の家の片づけの手伝いや、コロナ禍で家にいる時間が増えたことが後押しとなり、片づけ問題が一気に進展したといいます。
そのときのエピソードから、実家の片づけをスムーズに進めるコツを教えていただきました。
離れて暮らす高齢の親の片づけを成功させるには
mocaさんのお母さんは70代。今は離れて1人暮らしをしています。
「母は片づけが苦手な人で、実家にはものが溢れていて、小さな子どもを連れて帰りづらく、渋々里帰りをすることが続いていました。これは私が片づけられるようになる前ですが、帰省したとき、実家のものの多さがついに我慢できなくなってしまい、その辺にあったものを勝手にゴミ袋にどんどん入れてしまったんです。片づけを代わりにやってあげることで感謝されるかと思いきや、まったく逆で母はとても悲しそうでした」
●片づけられない母VS片づけられなかった娘
プロになってから余計に、“人のものを勝手にゴミ扱いしてしまった”ことへの罪悪感を深く感じていたmocaさん。整理収納アドバイザーの資格を取り、片づけの著書を出版しても、お母さんにそのことを言い出せなかったそう。
しかし、その関係性はコロナを機に一変します。
「1年前の緊急事態宣言のときに、母と妹と私の、家族3人のLINEグループができました。最初の頃は、おはようとか挨拶程度でしたが、夏に転機が。80代の伯母が認知症を発症して施設に入ることになり、住んでいたマンションを売ることに。母と母のいとこで伯母の片づけを手伝って、毎日LINEで『今日は○○を捨てたよ』と報告が来るようになったんです」
伯母さんは1人暮らしでしたが、焦げた鍋がいっぱいあったり、ソファが真っ黒になってたり、ずいぶんひどい状態で、お母さんも大変だったよう。2か月間もの間、整理を手伝っているうちに、気がつけばお母さんから「私も片づけないと」という信じられない一言が。
「こうして母自身の片づけが始まりました。最初は片づけとはいえない程度で、何度もダメ出ししそうになりましたが、全部我慢して『がんばって!』とだけ伝えました。そのタイミングで初めて、私の書籍と『お片づけノート』のコピーを送ったんです」
本を読んだお母さんから、「ドンドン捨ててます。快感になりそう」とLINEが届くように。
「がんばっている母を妹と一緒にとにかくほめ続けました。母もうれしいのか『○○を捨てたよ!』と毎日報告してくれる。妹と私だけのLINEで『ママ、すごくない? このままガンガンやってもらおう!』と話していました(笑)。気づけば、片づけられなかった時代の私がお片づけノートで体験してきたのと同じように、母も『捨てる理由に納得すれば、捨てられる』という片づけのルールを理解したんです!」