ぐっすり眠れない、寝つきが悪い、そんなお悩みはありませんか? 年齢や体質もあるかもしれませんが、無意識に快眠を妨げる行動を習慣にしてしまっているのも要因の一部かもしれません。
今年こそしっかり眠って健康的に過ごすべく、普段やりがちなNG習慣を睡眠健康指導士の長岡希実さんに教えてもらいました。
今年は睡眠を見直したい!ぐっすり眠るためにNGな生活習慣6つ
よく眠るためには日中の行動は大きく影響してきます。そこで、睡眠によくないNG習慣の代表を紹介していきます。
NG習慣その1:おこもり生活が続き、運動不足
自由に外出を楽しむことが難しい状況の中、自粛生活や在宅勤務で1日中家で過ごしている人も多いのではないでしょうか。
運動不足になるばかりでなく、太陽の光を浴びる時間も少なくなることから、夜ぐっすり眠れなくなります。日中は適度に活動し、日光を浴びることがよい睡眠のために不可欠です。
なので、せめてできることから始めてみてください。外出できないときは、運動にもっとも適した時間である夕食後に運動するのがベスト。おうちのなかで少し汗ばむくらいのストレッチなどをして筋肉を動かし、体温を上昇させるとほどよく疲労となり夜眠りやすくなります。
また、朝は朝日の入るベランダや窓際で日光を浴びながら、快眠効果が高い栄養素のタンパク質を取り入れた朝食にするのも大切です。
NG習慣その2:休日にたっぷり朝寝坊
平日はがんばって早起きしているのに、休日は朝寝坊していませんか? たしかに休日くらいはゆっくり寝ていたいものですよね。
でも、休日の朝寝坊が2時間以上になってしまうと、睡眠に影響をもたらすことが。このように平日と休日の起床時間差が大きいと、「朝の光を浴びてから14~16時間経過するとメラトニンが分泌されて眠くなる」という概日リズムが狂い、入眠時間が後退してしまうのです。
できれば平日も休日も同じ時間に起床することが望ましいのですが、無理のない範囲から取り組んでみてください。平日6時に起きている人ならば、休日は遅くとも8時までには起床することから目指してみてください。
NG習慣その3:夕方のうたた寝
昼間のバタバタがひと段落、ホッとできる夕方のひととき。夕食の準備の前に、ちょっとだけ横になろう…とうたた寝をしてしまうことはありませんか?
夕方のうたた寝は、夜の快眠を妨げる原因の一つです。眠い場合は夕方ではなく、昼食後から15時までの間に15分程度の仮眠をしましょう。そうすることで、眠気や疲れがとれてすっきり活動できるので、夜の睡眠には影響しません。
昼寝で大切なのは、「時間」です。「夕方までに」「短い時間で」すませてください。そして、長くても30分を超えないように注意しましょう。
NG習慣その4:寝る前にベッドの中でスマホチェック
夜、ベッドに入って眠るまでスマホを見ていませんか? 夜浴びる光の刺激は寝つきを悪くします。テレビやパソコン、スマートフォンを見るのは眠る30分前までにしましょう。
白色蛍光灯の光の波長も睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌を抑制します。光だけでなく、動画を見たりゲームをしたりといった行動は大脳を活性化させ、覚醒を高めます。寝る前は、部屋の灯りを青色波長光の少ない白熱灯にして、30ルクス程度に照度を抑えることが奨励されています。夜は暗めの部屋で脳に刺激を与える行動を控え、リラックスして過ごしましょう。
NG習慣その5:寝室の遮光カーテンを閉めきっている
先ほど、夜浴びる光は快眠を妨げるとお伝えしました。では、遮光カーテンはどうしてNGなのでしょう。その理由は、起床時にしっかり太陽の光を浴びることが、その日一日のパフォーマンスとその日の夜の快眠にとても大切だからです。
寝室に外からの光が過剰に入って眩しいような場合を除き、遮光カーテンはぴったり閉じず、10cm程度開けて眠るようにしましょう。そうすれば朝、寝室に日光が入り、光刺激によって体内時計がリセットされて、すっきりと目覚めることができます。
NG習慣その6:夜の喫煙・飲酒・カフェイン
タバコ・アルコール・カフェインはいずれも快眠を阻害してしまうことで知られています。人によっては大切な嗜好品かもしれませんが、遅くとも眠る3~4時間前からは摂取を控えましょう。
たしかにタバコを吸うと、快感情が生じて気分が落ち着きます。しかし同時に覚醒が高まり、さらに眠れなくなります。
寝酒は寝つきをよくする効果はありますが、睡眠後半の眠りが浅くなり、中途覚醒が増えるなど睡眠の質を下げてしまいます。
そして、カフェインの覚醒作用は4時間以上持続します。カフェインはコーヒーや紅茶だけでなく、コーラなどのソフトドリンクや栄養ドリンク、チョコレートにも含まれています。カフェインには利尿作用もあるので、夜中にトイレに起きる回数を増やします。
寝る前の水分補給は、水や麦茶などのノンカフェイン飲料にしたほうがいいでしょう。
●長く不眠症状が改善しない場合は医療機関を受診しましょう
とても地味なことですがこれらの習慣を見直すだけでも、少しずつ睡眠の質が向上していくと思います。睡眠は健康を維持するためにもとても大切なことですので、ぜひ夜によく眠るための習慣を身に着けてみてください。
もし、「朝方まで寝つけない」「疲れているのに眠れない」など不眠症状が改善しないまま続く場合は、何らかの病気が隠れているか、心の病の症状として不眠が現れている可能性があります。
つらい不眠症状が続く場合は、無理をせず医療機関に相談してくださいね。
【長岡希実さん】
(社)日本睡眠教育機構 上級睡眠健康指導士。不眠に悩んだことをきっかけに学び始めた睡眠学の奥深さにはまり、2019年に上級睡眠健康指導士の認定を取得。学術的な睡眠知識と科学的な知見に基づき、睡眠に関するアドバイスや正しい睡眠知識の普及活動を行う。健康な暮らしに欠かせない睡眠が果たす役割と重要性を分かりやすく発信していくことがライフワーク。