新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されています。そこで、家の中にウイルスを持ち込まないための正しい掃除法を、掃除研究家のおそうじペコさんに教えてもらいました。

家の中にウイルスを持ち込まないための正しい掃除法

新型コロナウイルスの感染が拡大しています。発生したばかりの未知のウイルスに対し私たちができることのひとつに、マスクの装着、帰宅後の手洗やうがいをしっかりするなどの自己防衛策がありますが、家の掃除も含まれます。

安心できるはずの家の中に、万が一ウイルスが入り込んでくるとしたら? 今回は、インフルエンザウイルス感染対策をモデルに家の掃除方法をもう一度見直してみたいと思います。

●正しい消毒用エタノールの使用方法3つのポイント

消毒用エタノール
消毒用エタノールの正しい使い方とは?
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ウイルスの殺菌に、石けんでの洗浄とともに有効なのが消毒用エタノールです。
手指の消毒はもちろん油汚れなど掃除にも使用できる消毒用エタノールですが、間違った使用方法をすると効果が下がってしまいます。殺菌力を上げる3つのポイントに気をつけて使用しましょう。

(1) 汚れを取る

ドアノブをタオルでふく

油やホコリなどの汚れがついている場合、殺菌力が弱くなってしまいます。汚れがある場合は住宅用洗剤でふき取るなどしてから使用します。

(2) 水気をふく

水気が残っていると、濃度が薄まってしまい殺菌力が一気に下がってしまいます。水気が残っている場合はしっかりふき取り、濃度を下げないようにします。

(3) 乾燥状態で使用する

ドアノブをペーパータオルでふく

汚れと水気をふいたら、しっかり乾燥させてから使用します。このとき、濡れたものではなく乾燥した清潔なクロスやペーパータオルなどを使用するようにします。

※消毒用エタノールは塗装面、皮革製品、スチール製品、デリケートな素材などは変質するおそれがあるので注意してください。

●感染経路から逆算して掃除をしていく

新型コロナウイルスの場合、厚生労働省のHPによると、現在の段階(2020年2月27日現在)では、感染経路は

「接触感染(感染者が触れた場所にウイルスが付着し、同じ場所に触れた手などで口や鼻など粘膜を触ることで感染する)」 「飛沫感染(くしゃみや咳など飛沫したものを吸い込む)」

の2つとされています。これは、インフルエンザウイルスと同じ感染経路になっています。あらためてインフルエンザウイルス感染対策として家の中を見ると、掃除すべき場所が見えてきます。

・接触感染の予防の掃除

帰宅後の手指の洗浄が十分ではない場合など家の中にウイルスが付着し、家族が同じ場所に触れることで感染してしまいます。よく手指が触れる場所を重点に、ふき取りと消毒をします。できれば今の時期は一日数回ふき取ると安心です。

スイッチプレートとドアノブをふく

スイッチプレートやドアノブなどよく触れる場所などです。

汚れがある場合はしっかり汚れをふき取ってから、別の清潔な乾いたクロスなどにエタノールをつけてふいて消毒します。

そのほかにもスマートフォン、モバイルバッテリーや筆記具など仕事で使用した小物類もふき取り可能なものは消毒します。

メガネを水洗い

メガネなど丸洗いできるものは30度以下の流水のぬるま湯で洗い流します。汚れがひどい場合は中性洗剤で洗浄後、メガネふき専用クロスでふき取ります。

・飛沫感染の予防の掃除

インフルエンザウイルスや風邪のウイルスなどが咳やくしゃみで飛散した場合、室内のホコリに付着することがあります。ウイルスを含んだホコリを吸い込むことで感染することがあると言われています。つまりホコリをためない、正しく除去することも大切な感染予防になります。

衣類や布団からホコリが発生しやすい寝室、狭い空間で脱衣するトイレや洗面所は特に要注意です。

テレビまわり

ホコリ掃除は室内の高いところから低いところの順番に掃除していきます。上から順番に掃除することでホコリが下に落ちて効率よく掃除できるからです。

クロスやモップでふく

白く積もったホコリにいきなり水ぶきをすると、ホコリが固まりになったり、汚れを広げてしまうことがあります。

まず乾いたクロスやモップで表面のホコリをふき取り、気になる汚れがあるときに洗剤をつけたクロスでふき掃除をします。モップはホコリが舞い上がらないよう何度も往復せず一文字書きにそっとふき取るのがポイントです。

床掃除は最後にしますが、最初に掃除機をかけると排気でホコリが舞い上がるので、フローリング用ドライモップをかけてから掃除機をかけるようにします。

トイレまわりをふく

トイレなどとくに汚れた場所は使い捨てのドライシートで床のホコリをとってから、ふき掃除をし、最後の仕上げにエタノールで消毒をしておくと大腸菌などの細菌類にも有効です。

●【まとめ】正しい掃除法を知ることが広い健康につながる

正しい殺菌方法やホコリの除去方法を知ることは、インフルエンザや風邪などの感染症、花粉症、アレルギー性喘息の予防にも役立ちます。掃除は家の美観のためだけではなく健康にも深い関係があります。
今、自分にできる対策をしっかりとっていきたいですね。

参照URL:「新型コロナウィルスに関するQ&A 一般の方向け」(厚生労働省HP)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q6 参照文献:『洗浄と殺菌のはなし

』(編集 新名史典 著者 隈下祐一・加藤信一/同文舘出版株式会社)