「ちょっとした習慣の違いが、お金を貯められる人とそうでない人を分ける」というのは、ベストセラー『お金が貯まるのは、どっち!?』の著者である菅井敏之さん。元銀行支店長の菅井さんは、お金を増やせる人たちの習慣を熟知しています。ここでは貯めたい人たちのための、銀行とのつきあい方と、人生の節目での大きなお金の使い方について教えていただきました。

お金持ちがやっている、銀行とのつきあい方

貯まる人は、銀行とのつきあい方にも特徴がありました。なんでも「メガバンクがいい」というわけではないことに注意!

●メインバンクとそれ以外で、目的と使い勝手で口座を使い分ける

銀行との信頼関係を築く
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「銀行には、それぞれ得意・不得意があります。メインバンクをひとつ決めて、あとは目的に合わせて使い分けるのが賢い使い方です」。菅井さんがすすめるのは、メインバンクを信用金庫にすること。住宅や学資ローンなど将来お金が必要になったとき、メガバンクには融資の基準が厳しいところがありますが、信用金庫は地元の商店街などの小さな店舗や個人事業主が主要な顧客になるため、力になってくれやすいのです。 一方、支店数が多く、全国でお金の出し入れができるメガバンクは、臨時支出用のお金を預けておくのに便利です。ネット振り込みをよく行う人も、メガバンクの方がいいでしょう。

●実績をつくって銀行からの信用を得る

銀行との信頼関係を築けば、住宅ローン金利の引き下げや預金の金利キャンペーンなど有利な情報提供や相談に応じてもらえます。給料振込口座をつくる、引き落としを集中させる、積立定期で毎月貯金するなど、実績をつくって信用されることがカギです。とくに信用金庫は、コツコツとまじめに積み立ててきた「信用できる人」にお金を貸そうとする傾向にあります。

●夫婦で共通の夢をもち、専用口座をつくって、楽しみながら貯蓄UP!

日々のコツコツとした貯金の原動力となるのは、ずばり夢です。5年後、10年後、どんな夢をかなえたいか、夫婦で話し合ってみるとよいでしょう。「たとえば、5年後に家を建てたいなら、専用の通帳をつくって、表紙に『家』と書いてください。毎月そこに貯金して、月末に夫婦で残高を確認しましょう。ひとりで貯めるより一緒の方がワクワクしながら貯められて、がんばる意欲もアップします」。

起業、退職金、不動産。「大きなお金」とのつきあい方

人生には、家を買うなど、大きなお金が動くタイミングがあります。額が大きいだけに、判断を誤りがち。気をつけるべきこととは?

●住宅ローンの返済は繰り上げるか、現金を貯めるか…。優先順位に注意!

借金を返しても、貯金は増えない!
借金を返しても、貯金は増えない!

繰り上げ返済は、前倒しして元金を減らし、その分利息が減るというメリットがありますが、手持ちの現金がなくなるまで行うと、かえって大きなリスクに。今後必要になる資金を貯めるのが先決。クルマの買い替えや子どもの進学などで資金が不足すれば、住宅ローンより何倍も金利が高いローンを組むことになりかねません。「ライフプランをきちんともって、将来を見通し、今後必要な資金はなにか、今貯蓄を返済に使っても大丈夫か、慎重に検討を。借金を返しても、貯金は増えないことをお忘れなく!」。

●退職金はあわてて投資せず、銀行に預けてじっくり使い道を考える

退職金が入ると、金融機関から「低利の預貯金に預けておくのはリスク」と投資を勧められます。でも、まとまったお金を手にした興奮状態のまま、投資する方がよほど危険! 「退職金は、老後の夢をかなえる大切なお金です。豊かな老後は慎重な決断から。半年~1年間預金口座に預け、今後そのお金で自分がなにをしたいかじっくりと考えるのが正解です」。

●親の家の市場価値が高いなら、売却より賃貸がトクな場合も

将来、親の家を相続することがあるかもしれません。そんなとき、自分の持ち家があると「だれも住まない実家は売ればいい」と思いがちですが、お金持ちはもっと慎重です。親の家の方が市場価値が高く、高く売れたり貸したりできるなら安易に売ろうとはしません。「賃貸に出すか、建物が古い場合は思いきってアパートに建て替えを検討しましょう。一時的な売却益より、不労所得が長期間入る方がずっと有利です」。

●妻がこれから働き始めるなら、思いきって起業を目指しても

勝負するなら、起業を目指しても

パートで確実に稼ぐのもいいのですが、「好き」を仕事に起業すると、成功すれば大きなリターンが望めます。「午前中客が少ないカフェにお願いして、得意なビーズや英会話などを教えるなど、知恵を絞ればできることはあるもの。今すぐはムリでも、資格や技術を磨いておきましょう」。