実家の墓が遠いなど、さまざまな理由でお墓を管理できなくなり、「墓じまい」を選択する人が増えています。ESSEが読者300人に行ったアンケートでも、4人に1人が墓じまいを検討しているという結果に。
そこで、僧侶で墓じまいの支援活動を行う清野徹昭さんに、今、話題の「墓じまい」の種類からそれぞれの特徴まで聞いてみました。
今後墓を放置することになりそうなら、墓じまいの検討を
「墓じまいとは、遺骨の次の行き先を決め、引っ越しをさせること。先祖をきちんと供養してから共同墓地に移したり、お墓を管理する必要がない方法を選んで行うことが大切です」と清野さん。
「親が元気なうちに、どの墓に入るのか、その墓の管理者はだれなのか、定期的に墓参りに行ける場所なのかなどを親やきょうだいと話し合い、今ある墓をこの先管理するのが難しければ、墓じまいを検討すべきです」
墓じまいといっても散骨から納骨堂まで種類はさまざま。墓じまいでまず初めにやるのは、墓の引っ越し先を決めること。それぞれに特徴やメリットがあります。
●散骨
そもそも墓をもたずに、遺骨を粉末化し、海や山などに散布する方法。他人の所有する土地などに、無許可で散布するのはNG。散骨できる粉末の大きさにも決まりがあるので、必ず専門業者に依頼をしましょう。
●樹木葬
墓石を建てるのではなく、樹木を目印にする墓。公営のものや、お寺の霊園の片すみにスペースが設けられるケースなどさまざま。基本的に、あと継ぎを必要としない永代供養型です。
●納骨堂
おもに屋内にあり、骨壺のまま安置できるのが特徴。駅近など立地がよい場所にあることが多く、選ぶ人が増えています。安置期間を決め、期間終了後は永代供養墓などに合祀するタイプもあるようです。
●合葬墓
複数の人の遺骨を同じ墓に埋葬できるのが合葬墓。後継者がいない場合でも、霊園やお寺で永代にわたって供養してもらえます。個別の埋葬ではないので、費用も比較的安く、先祖をまとめて弔えるのがメリットです。
「実家が遠くて放置してしまったり、自分のきょうだいが姉妹しかいないためにあとを継ぐ人がいなかったりなど、放置に至るケースはさまざまです。ご先祖さまが眠っておられたお墓をしまうのは、抵抗を感じるかもしれまんが、そのまま放置して負の遺産となるより、管理する人がいるうちに、ご先祖さまに感謝する気持ちを込めて、次の行き先を考えるのも、大切です!」と教えてくれた清野さん。
ESSE9月号では、墓じまいのやり方のほか、相続問題や死後の手続きなど、気になる実家問題についてを特集しています。
帰省の増える夏の時期、ぜひ家族で話し合う機会をもってみてくださいね。