子どもが集中しやすい「学習環境のつくり方」5選

緑の見える部屋で勉強する小学生
※画像はイメージです。(画像素材:PIXTA)
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家庭での集中しやすい学習環境づくりを考えた場合に、照明、姿勢、音、視覚的環境、デバイスの観点からポイントをご紹介します。

●1:夜間の照明は「睡眠への移行」を重視

照明をどう選ぶかによって、子どもの脳の覚醒度に影響をおよぼします。

日中は自然光を積極的に取り入れることで、脳が活性化し、集中力が向上します。夜間は青白い光(昼光色)に近い照明を使用すると、注意力や学習効率が高まることが複数の研究(※5)で示されています。

一方で、暗すぎる環境は眠気を誘いやすく、集中力を阻害します。

ただし、強い白色LEDなどの明るすぎる光は、夜間には睡眠ホルモンのメラトニン分泌を抑制し、睡眠の質に悪影響をおよぼす可能性があります。夜間はやや暖色系の落ち着いた明るさに調整すると、勉強に集中しつつ、睡眠への移行を妨げにくくなるでしょう。

●2:体格に合ったイスや机を使い、姿勢を整える

子どもの集中力を高めるには、姿勢も重要です。よい姿勢は脳への血流を改善し、認知機能や注意力を高めます。イスや机の高さを子どもの体格に合わせ、背筋が伸び、呼吸が深くできる姿勢を整えることが大切です。

スタンディングデスクを活用することもおすすめです。テキサスA&M大学のランジャナ・K・メータ博士らの研究(※6)によると、高校生がスタンディングデスクを1年間使用した結果、脳の実行機能やワーキングメモリが向上しました。

立った状態では交感神経が活発化し、脳への酸素供給も増えるため、眠気防止や集中力維持に効果的です。子どもには高さ調節可能なデスクを用意し、20分程度ごとに立つ・座るをきり替えると、より効果的です。

●3:雑音が聞こえない環境にする

勉強中の音環境も集中力に大きく影響します。子どもの脳はとくに周囲の会話など言語的な雑音を遮断する能力が未熟なため、騒がしい環境では、学習効率が著しく低下します。

スペインのルビーラ・イ・ビルジーリ大学による21の研究を分析した論文(※7)によると、騒音は学業成績および認知能力に有意な悪影響をおよぼすことがわかっています。

そのため、勉強中はテレビの音や大人同士の会話などが聞こえない環境をつくることが望ましいです。

●4:自然の緑が見える環境で脳のストレスを軽減

子どもが集中するには「視覚的環境」も重要です。観葉植物など「自然」を取り入れた環境は、脳のストレスを軽減し、集中力の持続を助けます。

シカゴ大学の心理学者マーク・バーマン准教授らが大学生を対象に行った研究(※8)では、森林公園を1時間弱歩いた実験参加者は、同じ時間を交通量の激しい街を歩いた人とくらべ、ワーキングメモリのテストで20%高い得点を取りました。

この研究から、窓から自然の緑が見える環境の方が勉強に適していることがわかります。窓から緑が見えない場合や、窓がない場合は、室内に観葉植物を置くことをおすすめします。

●5:タブレットは「大画面」「画素数の多い」ものを使う

タブレットなどのデバイスを用いる場合、画素数の多い、大きなディスプレイを準備してあげてください。

ウィーバー州立大学のロバート・ボール博士らの大学生を対象とした研究(2005年)(※9)によると、小さなディスプレイでは、視野が狭くなり、限定的な思考となるのに対して、 画面が大きく画素数が多いほど、問題を理解したり解決したりするパフォーマンスが、大幅に向上することがわかっています。