50代でスペインに単身留学中のRitaさんは、スペインでの暮らしを通じてさまざまな人々と出会い、自分自身の変化に気づいたといいます。「だれかのために自分を後回しにしてきた」というRitaさんが心を揺さぶられた瞬間を、写真とともにお届けします。

Ritaさんがスペイン留学で気づいた自分らしい生き方とは
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スペイン暮らし3年目。「後回しの自分」に変化が

スペインのビアバー

スペインでの暮らしも、気がつけば3年。いまだに毎日が新鮮で、驚きと発見に満ちていますが、最近ふと思うのです。

「私はいま、人生でいちばん“自分を大切にしている”かもしれないな」と。

かつての私は、家庭や職場、周りの人間関係の中で「だれかのためにがんばる」ことが当たり前でした。人に迷惑をかけないように、期待に応えるように、自分の気持ちは二の次。

なにかを伝える前に、「相手の気持ちを優先しないと」「相手はどう思っているんだろう」と余計なくらい気を使ってしまうクセが、知らず知らずに身についていたのです。

でもスペインに来てから、そんな「後回しの自分」に少しずつ変化が起き始めました。

昼下がり、ビールを飲む老人に心が軽くなる

スペインの昼下がり

ある日の昼下がり。近所のバル(スペインの立ち飲み居酒屋)でご老人が笑顔でビールを飲んでいました。

「今日もこのお腹を保つために、ビールを飲まなければいけないんだよ!」

そう言って、まるで使命感を語るように胸(いや、お腹?)をはる姿が、なんとも堂々たる姿。一瞬なにを言っているのか理解できず固まった私に、おじいちゃんは満面の笑みを残して去っていきました。

「え、そんな理由でいいの?」

「それを恥ずかしげもなく言っちゃうんだ?」

思わず笑ってしまいましたが、そのあとになんだか心が軽くなったのを覚えています。

ビキニ姿で海へ向かう老夫婦に魅せられる

スペインのビーチ

スペインでは、だれかに合わせるよりも「自分がどうしたいか」が最優先。

ランチをゆっくり楽しむのも、自分の気分をよくするため。服や髪型も、「似合ってる」と思ったら年齢など関係なく取り入れています。

スペインの人々は、だれかになにかを言われてもあまり気にせず、むしろ自分が話すのに一生懸命で、あまり聞いていない可能性もあります。「私は私」として自然体でいることが、まるでほめられているような感覚すらあります。

スペインの高台

たとえば、夏の日。海へいくまでの間に街の中心地を歩くのに、自宅から水着姿で出発! これが南部地方のお決まりの風景です。以前のホームステイ先の70代のご夫妻も、よく朝いちばんで2人そろって水着姿で出かけていました。

「今の自分が好き」そう背中で語るように歩くビキニ姿のご夫妻。年齢を理由に隠したり控えたりしない、その姿がとてもまぶしく映りました。