世界的に止まらない物価高とインフレ。その対策として、日々コツコツと節約に励んでいるという方は多いのではないしょうか。アメリカ・シアトルに住んで約20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんに、アメリカでの節約事情をテーマに現地からレポートしてもらいます。
すべての画像を見る(全3枚)「借金」から始まったアメリカ移住
日本人の美徳として「お金の節約、貯蓄は当たり前、借金なんてもってのほか」というマインドセットで生きてきた私。アメリカで暮らし始めると衝撃の連続でした。
まずぶち当たった壁が、「クレジットスコア」の獲得です。アメリカでは、これを個人の信用度の指標とし、クレジットスコアがないと、クレジットカードや携帯電話の契約が難しくなります。
アメリカ移住者はゼロスタートでクレジットスコアを獲得していくわけですが、どうしたら手っ取り早くスコアを上げられるのでしょう? その答えは「借金して、きちんと返済した」という実績をつくることです。
一般的に、そもそもアメリカ移住には「ちゃんとお金をもっていますよ」という証明がないとビザや滞在許可が下りないため、アメリカ移住者はそこそこ貯蓄額があるわけなのですが、わざと「借金」をして返済する必要がありました。
初っ端から借金生活という洗礼…(苦笑)。ただ、これで借金に対する耐性がほんの少しついたかもしれません。ちなみにいちばん安い中古車を借金して買い、完済したあとの私のクレジットスコアは爆上がりでした。
「借金」はけっして悪いものとは限らない
もし交際相手や結婚相手に借金があったらどうする? こうしたベタなお題はよく見聞きますが、これも日本ならではの発想というべきかもしれません。なぜなら、アメリカで借金を抱えている若者はかなり多いはずだからです。
日本と比べて、アメリカの大学は段違いに高額です。たとえば、日本の大学の年間費用が100万円前後だとすると、少なくてもその倍、学校によっては5、6倍かかるところも。
親が全額負担するケースは稀で、助成金や奨学金を得られたとしても、多額の学生ローンを抱えている若者はたくさんいます。つまり、アメリカでは高学歴の若者ほど、「借金まみれ」というのが現実なのです。
熾烈な学歴社会で、日本と違って新卒一括採用・一斉入社などの制度もないアメリカ。では、地道にキャリアを積み重ねるしかない若者はどうやって生活しているのでしょう?
それもまた「借金」ということになります。そんなアメリカ人たちと暮らしていて思うのは、時間とお金の使い方に対する考え方の違い。「借金」はけっして悪いものとは限らない、節約するにしても、コスパとタイパの両軸で見ないと意味がないかもしれない、ということです。