画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(75歳)は、高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。ここでは、小笠原さんが実践している、お金をかけなくても楽しめるレジャーのアイデアについて語ります。

散歩 
近所の散策も立派なレジャー
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遠出をしなくても、身近な場所に楽しみが

息抜きは大切ですよね。でも息抜きのためのレジャーは、ついエスカレートするものです。「もう少し長く」。「もっとおもしろい所へ」と。そして支出が増える。

公園

節約家の私はレジャーほぼゼロです。ひとり暮らしの高齢者の息抜きは、もっぱら晴天の日に近隣や在住地の町村をじっくり探索してみること。わが町探索も、レジャーのひとつだと思っています。

緑地や公園のベンチで、コンビニコーヒーやモナカアイスを食べるのも楽しみです。戸外での「ひとりお八つ(おやつ)」は、勇気だけが課題で、意外な爽快感が得られるだけに、チャレンジする価値はありますよ。もっと勇気があれば海を見に行くのも立派なレジャーです。泳ぐだけが海ではない。ひとりで海に行くという孤独の代名詞を、打ち破ってみるのもいいではありませんか。

私は心地よいカフェを見つけるのも好きです。話題の人気店ではなく、人知れず和めるリーズナブル店であることが条件です。それが若い頃からの私のレジャーでした。高級な老舗宿館や海外旅行に行くことだけでなく、レジャーとは独自の発想でワクワクすることを見つけ出し、日常で蓄積したストレスを解放することだと思います。

無料イベントに参加し、得られたこと

広報誌や地域新聞を見ると、興味深いお誘い記事に出合います。昨冬は地元の公園で芋煮会がありました。山形方面の方でしたら珍しくもないでしょうが、都内では耳よりの集いです。

地域のチラシ

また、無料のコンサートなどを発見することも多々あります。私はかつて、朗読公演会に際してのオーディションに応募したことがあります。たかが本読みといっても上手下手があって、滑舌が衰えた私はまさに朗読下手です。でも健康のために、審査員のいる前で背筋を伸ばして声を発してみたかったのです。

もちろん審査には落ちましたが、その機に公演の裏方ボランティアに加わり、おかげで友人を得ることもできました。「息抜きは行動にあり」です。もしこのごろ引きこもりになりがちだなぁ…と思ったら、動いてみましょう。まず気持を動かし、歩き出すことがレジャーの一歩ですから。

と申しましても、私は近ごろ最近足腰を傷めてしまったので、もっぱら雑誌やテレビの旅案内や街角景観で満たしています。最近よく見るのはYouTubeの風景映像や飲食光景で、内容以外にも、映写速度やショットやアングルなどカメラワークが抜群の作品で、プランニングや構成、編集が整ったチャンネルです。

そんなふうに「レジャーもどき深読み」を楽しんでいると、頭脳が刺激される気がして、ひと味違う鑑賞法が得られるようになります。