災害時は水や電気などのライフラインが止まってしまうことも多々あります。そんなとき、いちばん最初に確保すべきものとは? 国際災害レスキューナースの辻直美さんに教えてもらいました。断水時に役立つ水の飲み方や、腕力の強くない女性でも簡単に大量の水を運ぶ方法など、いつか来る災害に備えて、知っておくとお役立ちの情報が満載です。

リュックを背負った人
ライフラインが止まったら…。まずは水と電源を確保しよう
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大きな揺れのあとは断水に備えて水をためる

自宅で地震に遭ったら、揺れが収まり次第、家の中と外を確認します。倒壊の危険などがないかを冷静に見きわめ、在宅避難か避難所に行くかを判断します。

「在宅避難をすると決めたら、もしもの断水に備えて、まずは水の確保を。大きな揺れがあったら、速やかにバケツやペットボトル、やかん、ビニール袋などにできるだけ多くの水をためて」(辻さん、以下同じ)

水の確保ができたら、その次に電源を確認。

「十分に備えがある、という場合でも大切に使っていきましょう。優先すべきは介護などに使う医療用機器です。スマートフォンの充電などはソーラー充電器などを活用していきます。いざというとき使い方がわからず困った、という話をよく聞くので、しまい込まずに普段から使い慣れておくのがおすすめです」

2024年1月の能登半島地震で明らかになったのは、ライフラインの復旧は容易ではないということ。

「命をつなぐ水と電源。しっかり備えて、計画的に使うことが大切です」

少ない水でのどをうるおす飲み方

キャップに水を入れる

(1)ペットボトルのキャップに水を注ぎ入れる

菌の繁殖を防ぐため、キャップ に口をつけず、水を口内に

(2)菌の繁殖を防ぐため、キャップに口をつけず、水を口内に

舌の後ろに流し込んで10秒待つ。 唾液の分泌でのどがうるおう
ちょこちょこ飲みは、感染症予防にも効果的!

(3)舌のうしろに流し込んで10秒待つ。唾液の分泌でのどがうるおう。

断水時の「よくある勘違い」

断水が起こったとき、よく勘違いされがちなことが2つあるそう。

●勘違い1:停電では水は止まらない?

マンションの場合は断水することも! マンションなど集合住宅の場合、地震による停電で水をくみ上げるポンプが稼働しなくなることがあります。

「水道自体は止まらなくても、断水のリスクは高いことをふまえて備えておきましょう」

●勘違い2:浴槽に水をためればOK?

雑菌だらけなので避けて! どんなに丁寧に掃除をしても、浴槽には雑菌が付着しています。

「浴槽にためた水の雑菌はどんどん繁殖するので使用は控えて。できるだけ多くのビニール袋に水をため、浴槽に置いておくのがおすすめ」