夏本番を前に、今年もエアコンの冷房を稼働し始める時期が迫っています。けれど、冬の暖房を使い終えてから数か月経っているため、なにか不具合が起きていることも。いざ、夏本番にエアコンをフル稼働する季節になってから、「涼しくならない」という事態は避けたいものです。また嫌なにおいやカビも気になります。そこで今回は、夏場のエアコン使用時に実践したいカビ対策について、空調総合メーカー 「ダイキン」に、またカビによる健康への悪影響について、医師の谷口英喜先生に伺いました。
すべての画像を見る(全4枚)なぜ、エアコンにカビやにおいが発生するの?
ダイキンによると、エアコンの冷房や除湿の際に室内機の中で発生する結露や、室内機のフィルターに積もったホコリをそのままにしていると、室内機の内部にカビが生えたり、室内機から嫌なにおいがしたりする場合があるそう。
エアコンは、冷房運転や除湿運転の際、室内機の中にある熱交換器が冷たくなって結露します。また、エアコンは室内の空気を吸い込む構造になっているので、室内の空気中にただようホコリが室内機のフィルターに少しずつ積もっていきます。
フィルターに積もったホコリから嫌なにおいがするだけでなく、結露による水分やホコリに含まれる養分は、カビにとってエサとなってしまうのです。こうした水分やホコリをそのままにしてカビが発生してしまうと、健康にも影響が出ることも。
●カビを放置すると健康によくない影響も
医師の谷口先生は、カビが人体に与える影響について、「もし、エアコン内部でカビが繁殖し、カビの胞子が室内に広がってしまうと、アレルギーや喘息などの呼吸器系疾患を引き起こす可能性がある」と話します。
「とくにアレルギー体質の方や小さなお子さん、高齢者、免疫力が低下している方は注意が必要です。また、熱交換器が汚れると、エアコンの運転効率が下がり、電気代の無駄が発生してしまうこともあるようです」(谷口先生)
エアコン試運転で不具合や汚れをチェックしよう
では、エアコンの嫌なにおいやカビの繁殖を予防するには、どうすればよいのでしょう? ダイキンによると、冷房運転や除湿運転を停止した際に、室内機の内部を乾かす運転をしたり、定期的なフィルター掃除をしたりすることが重要だといいます。
一般的なエアコンは、室内機の内部が結露するような運転をしたあとに、室内機の内部を乾かすための運転ができるようになっています。冷房運転や除湿運転のあとには、こうした運転をして、毎回室内機の内部を乾かすようにしましょう。
●定期的なフィルター掃除を
また、2週間に1度を目安とした定期的なフィルター掃除も大切です。
去年の冷房シーズンに室内機の内部が湿ったままにしていた場合、カビの発生などによって熱交換器が汚れてしまっている可能性があります。
また、暖房シーズンも含めて定期的にフィルター掃除をしていなかった場合、フィルターにたくさんのホコリが積もっているかもしれません。
夏前のこの時期、エアコンに不具合がないことを確認する「試運転」とあわせて、室内機の内部やフィルターの汚れもチェックして、エアコンを快適に使えるように準備しておくことが大切です。
エアコンの試運転方法
エアコンの試運転の方法について紹介します。まず、電源プラグのある機種の場合、事前に以下のことを実施しておきましょう。
・電源プラグは根本まで確実に差し込む(接触不良による感電や火災を予防)
・電源プラグのホコリを乾いた布でふき取る(ホコリが残ったままでは湿気などで絶縁不良となり、発熱や発火、火災の原因に)
準備がすんだら、以下の手順で試運転をしてください。
●試運転の手順
1) 運転モードを「冷房」にして、温度を最低温度(16~18℃)に設定し、10分程度運転。
2) 冷風がきちんと出ているか、異常を示すランプが点滅していないか確認する。
3) さらに30分程度を目安に運転し、室内機から水漏れがないか確認する。
4) 異臭や異音がしないか確認する。
5) 運転を停止する。
なにか異常が見られたら、取扱説明書を参照の上で対処しつつ、不明点があれば販売店やメーカーに問い合わせましょう。
また、異臭がする場合、カビが原因の場合もあるので、しっかり掃除を!