八ヶ岳で再確認した、スウェーデン文化への憧れ

スウェーデンのヴィンテージ家具を扱うSKOGEN
スウェーデンのヴィンテージ家具を扱うSKOGEN
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この旅では、東京から八ヶ岳へ移住した友人知人が意外と多いことに気づいたのも収穫でした。

その中には、まだおむつが取れたばかりの私を知る父のデザイナー仲間も。現在はスウェーデンのヴィンテージ家具を扱うSKOGENのオーナーであり、今回30年ぶりの再会を果たすことができました。

ともにスウェーデンに影響を受け、豊かな暮らしに魅せられた森の中の一軒家は、その入り口に立った瞬間に北欧の森に迷い込んだ様なとても懐かしい風に包まれました。

SKOGENの室内

私がなぜこんなんにもスウェーデンの暮らしに憧れているのかを、体現させてくれる空間がそこにありました。

過剰に飾ることなく優しさがあふれる暮らし。そんな「豊かな暮らし」を考えるとき、私はいつもスウェーデン人の自然を愛する姿に行き着きます。

自然と共存する暮らし

私たち日本人には馴染みのない言葉ですが北欧には「自然享受権」という法律があります。

これは憲法で保証されている権利として、土地の所有者に迷惑をかけないという前提において、だれでも自由に森に出入りすることが出来、ベリーやきのこ採りを存分に楽しみます。

「私たちは森を借りて住まわせてもらっているのよ。」という表現をするスウェーデン人からは自然との暮らしがなによりのぜいたくなのだと教わります。

日本ならではの風景に新たな目標を発見

今回の旅で強く私の印象に残った風景は、八ヶ岳の豊かな森だけではありません。甲斐駒ヶ岳の猛々しくも美し姿にも圧倒されました。この風景は山に囲まれた日本ならではの美しさではないでしょうか。

昔話の中に出てきそうな、あるいはいつか見た紙芝居の絵の中に紛れ込んでしまいそうな錯覚に陥ります。

柳生博さんは「確かな未来は懐かしい風景の中にある」という言葉を残されています。

「人生の最後に暮らす場所を見つける」という、大きな目標を得た短くも充実した旅でした。

※ 写真は許諾を得て撮影しています

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