英会話スクールや英検で英語学習を積んだ子どもでも、中学校の英語では思うように点が取れないこともある。そう語るのは『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと」(Gakken刊)の著者でもある、教育系インフルエンサーの「東京高校受験主義」こと東田高志さん。小学生のうちに英語学習をしている子どもの思わぬ落とし穴とその対処法について、教えてくれました。

英会話スクールに通う小学生
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英会話スクール出身者が直面する課題

中学校では、英会話スクール出身の生徒が英語のテストで思うような結果を出せないことがあります。小学校の初期段階から英会話スクールに通っていた塾生が、中学の最初の定期テストで厳しい結果に直面するケースをたびたび目撃してきました。

英語が得意だと思っていた子どもはすっかり自信をなくし、安心していた保護者も、この現実に打ちのめされます。なぜでしょうか。

英会話スクールの学びは、おもにスピーキングやリスニングです。小学校低学年の子どもはまだ、抽象的な思考や論理的な理解が未熟なため、直感的なアプローチが中心です。

しかし、中学に進むと、一転して文法の正確さやスペリングの精度が要求されるようになります。この急な変化に適応できず、テストでの失点が増えるのです。

この問題の根源は、英会話スクールが不適切だからではありません。それよりも、文法やライティングの学習がおろそかになっていることにあります。とくに、週1回の英会話スクールだけでは、中学での英語学習に必要な文法の基盤をつくることはできません。

英検3級程度ならば、文法やライティングのスキルが完璧でなくても合格します。その結果、親御さんは「中学卒業レベル」とされる英検の合格に安堵し、文法対策の必要性を見過ごしてしまうのです。

英会話スクール出身者がやるべき最適な学習法は?

英文法を学ぶ小学生
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解決策としては、小学校高学年から英文法の学習を本格的に始め、ライティングのスキルもあわせて鍛えることです。英会話スクールでの実践的な学習と、文法の学習を組み合わせることで、4技能をバランスよく伸ばすことができます。

「英会話スクール出身者は中学の英語でつまずく」という高校受験塾の見解はある意味、事実ではあります。しかし、紹介したような学習を行えば、英会話スクールの経験者も中学の英語で十分な成果を収めることができるようになります。

英会話スクールで培われた実用的なスキルと、英文法の学習を通じて得られる理論的な知識を組み合わせることで、英語の習得速度は劇的に加速します。この段階に達すると、親子ともに「英会話スクールに通って正解だった」と感じることができるでしょう。