英検を中心にすえた学習の罠
すべての画像を見る(全4枚)同じように中学入学後に苦労する傾向にあるのが、英検中心の学習をしてきた生徒たちです。小学生時代に英検3級(中学卒業相当)を取得して自信満々で入学したら、定期テストで全然点が取れない、模試の成績も上がらないという声をよく聞きます。なぜ苦戦する子どもが多いのでしょうか。
英検の問題構成は、あいまいな知識でも解答可能な4択問題が中心です。加えて、ライティングの部分では、テンプレートを丸暗記することで、ある程度の点数を獲得できるのが実情です。
正確な英文法力を試す書き換え、和文英訳、誤文訂正などの問題も見当たりません。このため、英検3級を取得したとしても、実際の英語力がそのレベルに達していない場合が少なくありません。
中学や高校での試験や学習は、正確な英文法やライティング能力が求められるため、この英検とのギャップが生徒の学習の障害となります。
●英検5級を取得したあとにやるべきこと
英検5級を取得したばかりの生徒は、次のステップとして英検4級の対策を始める前に、一度自分の知識を振り返る必要があります。5級の内容を本当にマスターしているのか、中学1年生レベルの文法や単語のスペリングは完璧にできるのか。
これを確認しないで、次のステップに進むと、学習の基盤が不安定なまま進むことになります。
実際、英検の合格を追い求めるばかりで総合的な学習を怠ると、のちの学習過程で「英検〇級を取得したのに、模試では満足のいく成果が得られない」という結果を招くことがとても多くなるのです。
中学1年生相当の英文法力って?
私の指導経験からすると、英検のみの学習に焦点を当てていた生徒は、3級を取得している場合でも苦戦します。もしかすると1問も解けないかもしれません。ですが、安心してください。今の段階で認識して対応すれば、十分に克服できます。
このような文法問題への対応力も身につけていくには、体系化された英文法を緻密に教えてくれる塾を選ぶのがベストです。
それが難しい場合、映像授業での文法の学習や、文法問題集の利用がおすすめです。週に1回家庭教師に来てもらって、英文法の定着や単語テストを行うことも効果的です。
英検の合格は、学習の努力を形にする手段であり、モチベーションを高めるよいツールとなります。ですが、それを目的とするのではなく、あくまでも学習意欲の向上の一助として位置づけるといいでしょう。
あせって3級を取得するよりも、しっかりと基盤を築く5級の取得を目指すのが得策です。
今回は、英会話スクール出身、英検3級取得の小学生が中学校で苦戦する理由について紹介しましたが、このほかにも、東田さんの著書『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと: 4万人が支持する塾講師が伝えたい 「戦略的高校受験」のすすめ』では、「自己肯定感の育成」を隠れた重要テーマの1つとして、小学生・中学生の子どもを持つ保護者に必読の情報を紹介しています。
※ この記事は『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと: 4万人が支持する塾講師が伝えたい 「戦略的高校受験」のすすめ』(Gakken刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。
