日常で起きるちょっとした心身の不調。放っておくと、もしかしたら病気につながるかもしれません。

ここでは「急に動悸がして息ができなくなった」という読者の悩みに、メンタルの病気に詳しい医師・福永伴子先生が答えてくれました。

急に動悸(どうき)がして息ができなくなりました…これって病気?

女性がベンチに座ってこめかみを押さえているイメージ
急な動悸で息ができなくなり…また起こると思うと怖い(写真はイメージです)
すべての画像を見る(全2枚)

●読者のお悩み:急な動悸の経験が不安の種に

満員のバスの中で、急に動悸がして息ができなくなりました。すぐにバスを降りて、少し休んだら元に戻り、そのあとは普通に生活しています。ただ、またなるのでは…と思うと怖くてバスに乗れません(えみこさん・39歳)。

●恐怖心がとれないようならクリニックを受診して。放っておくと重症化することも

突然、急に動悸がして息ができなくなったらパニックになりますよね。それはもしかしたら「パニック発作」かもしれません。

この発作の特徴は、突然動悸や息苦しさが始まり、自分がどうにかなってしまうんじゃないかという恐怖感や不安感に襲われること。ところがこの発作の激しい症状は10分以内で治まることが多いのです。
ただ突然起こるので、症状によってはびっくりして病院に駆け込んだり、救急車を呼んでしまう人もいるのですが、病院に着く頃には発作はすっかり治まり、検査をしてもなにも悪いところは見つかりません。

パニック発作の様子のイラスト

ところが、人によってはこの発作を繰り返すことがあり、すると「また同じような発作が起きたらどうしよう」という予期不安や恐怖感がつきまとうようになり、起きてもいない未来のことまで思い悩むようになることも。

「また発作を起こしたら、周りに迷惑をかけてしまうのでは…」とか、「大勢人がいるところで発作を起こしたら恥ずかしい」といった気持ちが強くなってしまうと、人が集まる場所や過去に発作を起こした場所に近づけなくなったり、そのことを考えただけでドキドキするようになったり、それがひどくなると外出もおっくうになり家から出られなくなることも。ここまで行くと症状が慢性化して、回復にも時間がかかるようになります。

もし、過去に発作を起こしたことがあって、不安感や恐怖心がとれなかったり、発作を起こした場所に行けないといった症状があるのなら、早めに医療機関を受診することをおすすめします。というのも、不安感や恐怖感は気のもちようや自分の性格によるものと考えてしまいがち。ですが、パニック障害は脳の働きがいつもとは異なっているので、治療が必要な状態であることが最近の研究でわかっているからです。

パニック障害はひとりで思い悩むことでますます不安感が大きくなってしまうもの。もし思い当たることがあれば、まずは精神科や心療内科などの医療機関に相談に行ってみましょう。

<チェックリスト>こんな症状があったらパニック障害かも…

最近よく耳にするようになったパニック障害。次のような「パニック発作」が突然襲ってくるのが特徴です。

・突然、激しい動悸がする

・急に息苦しくなる

・急にカッと体が熱くなってめまいやふらつきがある

・恐怖感や不安感に襲われ、どうしようもなくなる

・手のひらや体に汗をかき、手足がしびれる

このような発作が突然起こったり、何回か繰り返したことがあれば、パニック障害の可能性が。重症化すると日常生活に支障が出ることもあるので、早めに医療機関に相談してください。