子どもの独立、卒婚など、人生の節目を迎えたタイミングで、将来のキャリア設計を見直す人が増えています。著述家の中道あんさん(60代)もそのひとり。40代で夫との別居を機にパートから正社員になり、50代で起業。現在も精力的に活動している中道さんが考える「セカンドキャリア」について、話を伺いました。

中道あんさん
中道あんさん
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働き方を変えたら「セカンドキャリア」?

友人が社内のセカンドキャリア研修を受けたそう。シニア層や働くビジネスマンが将来のキャリアについて考えるための研修です。セカンドキャリアとは、第2の人生における職業を意味する言葉です。

45歳で、パート主婦から正社員になった私。あれがまさにセカンドキャリアだったといえます。なぜなら、夫と別居し、経済的自立も果たし、それまでの生きる姿勢とは大きく変わったタイミングだったから。私にとってセカンドキャリアは「新しい挑戦」と「経済的な安定」を意味していました。

転職を含めて10年間「事務職」というキャリアを育み、といってもまったく向いてなかったのですが、55歳のとき、一念発起して起業。会社も設立します。これまでとまったく別の生き方を始めたのだから、「サードキャリア」だと思っていました。

起業してからというもの、会社員のときよりもはるかに仕事一筋の人生を生きて、今年で7年目に突入。もし、友人と同じように研修を受けたとしたら、私にとって、キャリアってなにを指すのだろうか? と考えてしまいました。

●キャリアってなんだろう?

「働き方を変える」「仕事を変える」

そのようなことだけをキャリアと呼ぶのでしょうか? であれば、転職を繰り返している知人は、手の指だけではたりないほどになります。

もともとセカンドキャリアとは、プロスポーツ選手の引退後のキャリアを指して使われた言葉だそう。であれば、仕事をリタイアしたあとの「人生」を指しているようにも思えます。

起業して「人生そのものを再設計する」フェーズに入った

今年62歳になる中道あんさん

私は、今年62歳になります。会社員ならば、とうに定年を迎えて働き方を変えている年齢です。しかし、実際のところ55歳のころとなんら変わらぬ働き方を続けています。むしろ仕事量は増えているように思います。

つまり、周りよりちょっと早く「どう働くか」「どこで働くか」「だれと働くか」を考えたんですよね。

そのときは、自分の可能性を信じて、えいっと行動しただけだと思っていたのですが、実際は「どう生きるか?」を選び直すことそのものが、私にとっての「セカンドキャリア」だったのかもしれません。

そう考えると、起業してからの私は「サードキャリア」ではなく、「私の人生そのものを再設計する」フェーズに入っていたと言えます。