長い間汚部屋の住人だった漫画家・午後さん。キレイな部屋は「都市伝説」だと考え、片づけとは無縁の日々を送っていました。しかし、ある出来事をきっかけに、掃除が心から楽しみな時間へと変わり、驚きの変化を遂げます。今回は、午後さんがその変化に至ったきっかけと、片づけを通じて見つけた心地よい暮らしの秘訣をご紹介します。
すべての画像を見る(全2枚)汚部屋歴15年以上。転機が訪れたのはある気づきだった…
15年以上汚部屋に住んでいた、元片付けられない漫画家の午後さん。片付け前の状況を伺うと、部屋はものに囲まれ、ベッドは本に浸食され、そして床には積み重ねられた洋服…と、足の踏み場もない状況だったそうです。
「今でこそ部屋の掃除は大好きですが、心地よい暮らしができたのはほんの数年前からです。当時を振り返ると、片付けとはとてつもなく縁遠かったですね。ただ、家族にも『だらしない』などといった言葉で罵倒されていたため、部屋が汚れているという自覚はありました」(午後さん、以下同)
浴びせられた罵詈雑言に対し、自分は“どうせダメだから”となにもしない。状況は悪化する一方…。しかし、「部屋をキレイにするコツ」が丁寧に記された1冊の本との出合いにより午後さんに転機が訪れます。
そこで気づいたのは、自身が部屋の片付け方を知らなかったこと、そして自分が完璧主義であるために妥協ができずに目標値を高く設定しすぎ、その結果身動きができなくなっているということです。それにたどり着いたとき、午後さんのなかで革命が起こりました。
片付けでいちばん変わったのは「視野」
「片付けは自由である」と理解してからは片付けが楽しくなり、ワクワクしながらトライアンドエラーを繰り返す日々。そして、2~3年かけて心地よい部屋を手に入れました。
「片付けたことでいちばん変わったのは『視野の広さ』だと思います。今まで“どうせダメだから”とネガティブなレッテルを自身に貼っていましたが、『自分の環境は自分の力で変えることができる』という成功体験を積んだことで、視野が広がり、ポジティブな考えを持つことができるようになりました」
そう語る午後さん。自身のそんな体験をつづった、書籍『元・片づけられない漫画家の 心地よい暮らし製作所』(扶桑社刊)では、自分なりに実践していった片付けの記録などを紹介しています。
「この本はESSEで連載していたものを加筆・修正したものです。今もこの世界のどこかにいる、過去の私と同じように悩み苦しんでいる誰かの手を取れたら、という気持ちで描いていました。また、怠惰と揶揄されがちな汚部屋住人の心の中身や葛藤を、世間の人々に少しでも理解してほしい…という願いも込めています」
自分と同じ「汚部屋」で苦しんでいる人だけでなく、汚部屋の住人の同居家族、そしてセルフケアが苦手という人にも読んでほしい…と午後さん。同じ悩みを抱える読者の声は自身の励みにもなっているそうです。
「『パアッと目の前が開けた感じになりました』とのお声はうれしかったですね。読者さんの心が少しでも軽くなったのなら、本当によかったと思いました」