大切なのは「一気」に終わらせようとしないこと
すべての画像を見る(全2枚)部屋の大改造でいちばん気をつけていたのは「一気に終わらせようとしない」こと。せっかちな性格のため、結果を早く求めがちだったそうですが、慣れないことを一度に終わらせようとするのは相当なストレスがかかります。
また、一気に片付けても、変わった部屋に適応できず、1か月後には元どおり…という「部屋のリバウンド」状態も経験。そこでエリアや時間で区切る対策を講じ、片付け計画にはあらかじめ休憩時間を含めるようにしました。
「最初こそ効率が下がることを心配していましたが、しばらく進めると以前よりも効率が上がっていることに気づきました。無理をした結果失敗して、自分を責めてしまうことにつながる無謀な計画は立てないよう意識しています」
片付けを進めていくなかで、目的は“部屋がキレイになること”ではなく、“心地よく暮らせるようになること”だと気づきました。そこで、立てる計画も自分が心地よく行えるものにすべきだと考えたそうです。では、午後さんにとって「心地よい暮らし」とはどのようなものなのでしょうか?
「“心から安全だと思える空間に、愛着を持って住まうこと”でしょうか。まだまだ模索中なので、今後変わるかもしれません」
“ファンタジー”だった存在。だけど今は…
いくらやっても終わらない…。そんな風に片付けがうまくいかないことにストレスを感じることもあるかもしれません。「本当にしんどいときは、まず休んでください」と午後さんはメッセージを送ります。
「片付けってものすごくエネルギーがいる作業なので、けっして無理だけはしないでほしいです。『今日はできそうかも』と思った日に、できそうなところから、少しずつ、自分のペースで進めていってください。あくまでもパーソナルな空間なので、自由に、自分のやりたいようにやっていいのですから」
試行錯誤しながら「心地よさ」の着地点にたどり着いた午後さん。最後に、片付けた今、午後さんにとって「キレイな部屋」の存在を尋ねてみました。
「キレイな部屋は、“夢や憧れを自力で具現化したもの”として認識しています。現在は、『私って、こんなにキレイな空間にいていいんだ』という驚きや戸惑いをいちばん強く感じていて、この幸福な環境が当たり前のものとして享受できるようになるまでは、もう少し時間がかかりそうです」
午後さんの最新コミックエッセイ『元・片づけられない漫画家の 心地よい暮らし製作所』(扶桑社刊)は、「片付けが苦手」「できない自分を責めてしまう」という人にそっと寄り添いつつ、実践しやすいヒントが満載の本。行動や思考と向き合い、ときに休みながら部屋づくりをする過程を見ていると、穏やかな気持ちになれる1冊は必見です。
