年々高まる、集中豪雨や超大型台風などの「水害」のリスク。防災の意識はあっても、水害対策はなにをすればいいかわからない人も多いかもしれません。水害は “家に住めなくなる” や “身動きが取れなくなる” などの大きな被害を生みます。今回は、そんな「水害」の被害と、水害の予報が出たらすべき「4つの対策」について、国際災害レスキューナースの辻 直美さんにお話を聞きました。
すべての画像を見る(全6枚)水害が起きたらどうなる?知っておきたいこと
集中豪雨や超大型台風など、水害のリスクは年々高まっています。地震とは異なる水の災害についても考えておきましょう。
●窓ガラスが割れる
風速25~38m/sの立っていられないほどの風が吹くと、飛ばされたもので、窓ガラスが割れることが。しかも、割れた窓から風が入り、その風圧で別の窓が割れたり、屋根や天井が抜けたりすることもあるそう。竜巻の発生も増えている昨今、より警戒が必要に。
●家が浸水する
「浸水被害に遭った人からは『さっきまで平気だったのに、みるみる水が上がってきた』という話をよく聞きます」と辻さん。想像を超えた速さで水は迫ってきます。
床上浸水すると、家具やものが汚泥にまみれグチャグチャに。「現場は耐えがたいほどの生臭いにおいがたちこめます」
●家から出られなくなる
大人のひざ程度の深さでも、避難が困難になるといわれています。「2019年の台風18号では、救助を要請しても来てもらえず、年老いた母親と子どもと犬と3日間、屋根で過ごした人を知っています」。高層階の住人は水が引くまで籠城せざるを得なくなるそう。
●クルマが水没して動けなくなる
クルマは浸水深が10cm以上になるとエンジン性能が低下し、30cmを超えるとエンジンがストップ。「電気系統が機能しなくなり閉じ込められてしまうし、タイヤが完全に水没すると車体が浮いてクルマごと流されてしまいます」
クルマで避難するのは危険。水位が急に上がりクルマごと流されることも。徒歩で早めに行動を!
●トイレや排水口から汚水が逆流してくる
下水道管に大量の雨水が流れ込むと、排水機能が追いつかず逆流。「写真は2019年の台風18号の被害に遭った家。排水口からと外からの汚水にまみれ、家を建て直さざるを得なくなったそう」
下水の逆流で悲惨な状況になってしまった浴室。「すぐに排水できればまだいいのですが、下水管の雨水が引くまで待つしかなく、それまでは基本なすすべがない」そう。
●あと片づけで感染症がまん延する
水害後は細菌やカビが繁殖、害虫も発生。レジオネラ症や破傷風のほか、誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクが高まります。「菌が肌に少し触れただけでもアレルギーを発症することがあり、とても危険な状態。あと片づけの際には必ず手袋や長靴、ゴーグル、マスクを着用して」
汚水にまみれた家具は1週間以内に搬出しないと泥が固まってしまう。カビと強烈なにおいで家に住み続けるのが困難に。