私の近況。東京の区民農園に当選したこと

また先日は、東京の区民農園へ。10年間応募し続けた農園にやっと当選したのです!

東京の畑を耕す久美子さん
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私は愛媛と東京の2拠点生活中で、愛媛ではまあまあ広い畑をやっています。

今頃当たっちゃった、という気持ちもありつつ、関東ローム層の土に触れられることが楽しみだった。のですが、行ってみてカルチャーショックを受けてしまった。

畑の小ささにもだけれど、防草シートを張りめぐらされた中に、定規で測ったように機械的に土が整備され番号順に並んでいる。なるほど…草が生えないので、野菜だけを育てられて効率的ではあるけれど、不自然の中の自然だなあなんて思ったのだった。

東京だもの。売れば数億はくだらない土地を畑でおいてくれていることにまずは感謝せねばいかんね。

ジャガイモをキツキツに植え、ニンジンや、ズッキーニの種を撒いてきた。日曜日だったからか、長靴をはいてたくさんの人が来ていた。みんな楽しそうに土に触れている。この方たちにとって、この場所はなくてはならないオアシスなんだろう。

住宅街の中にぽっかりと空が広く、土は黒ぐろとした肥土で、愛媛のよりさらさらして水はけが良さそうだった。これはいい野菜ができそうだな。

今はまだ真っ黒の畑も、夏に向けて少しずつカラフルになっていくのだろうな。

帰りがけ、来ている人と少し話をした。みんなそれぞれの暮らしの中に住んでいる。いろんな当たり前があり、それぞれの価値観で生きている。

近くにいても全くクロスしないままの人がほとんどだけれど、どこか一部分だけでも、重なり合えたとき、カラーフィルムのように新しい色ができて、少し生活がメロディアスになる。そんな重なりもこの畑の醍醐味だろう。

それぞれの「暮らしっく」はこれからも続きます

種
自家採取のために乾燥させている種

続くそれぞれの「暮らしっく」が、あなたらしいメロディでこれからも奏でられますよう。私の知らないところで絶版の本を探してくれた人がいたように、私の知らない場所で、このエッセイを毎回楽しみに読んでくださっていた方もいたことと思います。

どんな野菜が育ったかをここで披露できないのが残念だけれど、またどこかの文章の中でお会いできたら嬉しいです。どうか、お元気で! ありがとうございました。

最後に、ここまで連載を支えてくださった編集のOさんへ。ビビットな見出しをつけたり写真をくっつけたりとESSEならではの特別な形をつくってきてくれました。

いろんな方に読んでもらえて、こんなに長く連載を続けられたのは、Oさんが二人三脚でサポートしてくれたおかげです。ほんとうにありがとうございました。また一緒にお仕事できる日を楽しみにしています。

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