今、ブームになっている「平成女児カルチャー」。平成時代を小学生として過ごしていた女性たちが触れていたカルチャー(キャラクターやファッションなど)が令和の今、再評価されて盛り上がっています。作家・作詞家の高橋久美子さんも現在40代前半で平成初期に小学生だった世代。当時からの大切な宝物を捨てられずにいる今、当時親しんだものを振り返ってくれました。
すべての画像を見る(全4枚)平成初期に遊んだ懐かしいものを振り返る
小学低学年の頃、飽きずに毎日のように遊んだ室内ゲームといえば、「ドンジャラ」である。ファミコンをしている子もクラスに何人かはいたけれど、ブームがくるのはもう少し後のことだった。男子と遊ぶならドンジャラかガンダムの人形、女子ならリカちゃんか、先生ごっこだった。ちなみに私は82年生まれです。
ドンジャラはアニメキャラがついた卓上の遊びで、ドラえもんのがいちばん人気だった。男子は聖闘士星矢のを持っている人も多かった。私もドンジャラブームから数年遅れて、「ジャンポン」という名前の卓上ゲームをよくやっていた。
ネットがない時代だから、わりと情報は曖昧で「ドンジャラ」っぽい商品がさまざまに出回った。よくわからないもんだから、似たものを買っていた(たまごっちも売りきれてたから「ぎゃおっぴ」というのを買ったし)。でも、とくに「うわー、それパチもんやん」とか言われることもなく楽しく遊んだのだ。ゆるい時代である。お年玉の額的にもまだまだバブルの余韻があったし、うちは祖父母と同居していて、親戚がわんさか来ていたので、ほしいオモチャはお年玉で買っていった。ジェンガ、オセロ、UNO、黒ひげ危機一発、本当に「もの」の時代だった。
女子はやっぱりリカちゃん人形
大学生になって、軽音部の部室で麻雀をしたとき、これ「ドンジャラ」じゃん! と思った。なるほど、こっちが本家で、ドンジャラは麻雀を子ども用にしたものだったのかと初めて気づいた。ネットがない、というのはある意味では平和だったのだ。
男子の室内遊びがドンジャラだった頃、女子はもっぱらリカちゃん人形だった。
今思えば、リカちゃん的お姉さんが女子の憧れだった。きれいで、聡明で、女の子らしいりかちゃん。私の頃に流行ったのがジェニーちゃんだった。リカちゃんは日本人的な体型の小柄さと顔立ちだとしたら、ジェニーちゃんは異国の香りをまとった背の高い八頭身だった。うちには両方ともいたと思う。
友達がきたらいちばん人気はリカちゃんとジェニーちゃんだった。
なにより、リカちゃんとジェニーちゃんは値段が高い。姉はジェニーちゃんを買ってもらっていたが、数年後3歳下の私がサンタさんにもらったのは、ちえみちゃんというナースのお人形だった。ちえみちゃんってだれ? 今調べてみたらリカちゃんの友達だということが判明したけれど、ネットがない時代、謎は永遠に謎のままだった。私は主人公のリカちゃんやジェニーが欲しかった。ちえみちゃんは小柄で、髪の毛もカーリー(私も癖毛だった)だったので、さらさらのジェニーちゃんに憧れた。
数年後サンタさんがくれたのは、いづみちゃんだった。いづみちゃんてだれ…。またリカちゃんの友達だった。なぜリカちゃんじゃないのだ。でも、いづみちゃんはサラサラヘアで背が高く美人だったので満足して遊んでいたところ、姉の友達が、いづみちゃんの髪の毛を編込みにしてくれた。とっても気に入って半年くらいそのままにしていたところ…ほどいたら、もじゃもじゃになってしまった! どんなに洗ってもとかしても、ストレートには戻らなくなったという苦い思い出がある。
ちなみに妹はバービーを買ってもらっていたが、やっぱり人気者はリカちゃんとジェニーちゃんで、「バービーってかっこいいよね」となるには時代が追いついてなかったのだった。
流行りのお人形を見ても、時代が見えてくる。人形の洋服、メイク道具、お部屋セット、女子たちの花園はどんどん広がり、家に集まっては着せ替えたり、ついには洋服をハンドメイドしながら、人形遊びに没頭したのだった。