3月は日本では引っ越しの季節。フランスでいちばん引越しが多い季節は夏休み中で、どちらも新学期前のタイミングです。新しいアパルトマンに引っ越したいとき、フランス人はどんなところにポイントをしぼって物件を選んでいるのでしょうか? フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さんがフランス人のアパルトマンの選び方についてレポートしてくれました。
すべての画像を見る(全4枚)フランスの大都市では内覧にこぎつけることが一苦労
フランスでも、物件選びはインターネット、とくにアプリからが主流になっています。本当は知り合いから紹介されるのがいちばん安心で手っ取り早いのですが、物件が不足している大都市では、なかなかそうは行きません。
パリなどの大都市では物件の内覧は競争になってしまうこともあるので、いつでも通知を受け取れるスマートフォンのアプリ経由で探している人が多いです。繁忙期には通知が鳴ったらすぐに電話する、くらいの勢いがないと内覧までこぎつけません。
以前聞いた話で、通知が鳴って(つまり賃貸の募集記事が投稿されて)すぐに電話をして内覧に行けたものの、その日には20人が同じ物件を内覧していたとのこと。建物の前には内覧の行列ができていて、結局のところ入居は叶わなかったそう。
フランスでは「家具つき」物件も多くある
アプリには自分の条件をあらかじめ登録しておきますが、地域、広さ、賃料などの必須の条件以外で、フランスらしい、特有のこだわりポイントがいくつかあります。
まず、物件は大きく2つ「家具つき」「家具なし」に分かれていること。日本ではウィークリーマンションなどの特殊な場合でないと家具がついていることは少ないと思いますが、フランスは学生やインターン、期限つき雇用など短期で借りる人も多いせいか、家具つき物件も多くあります。少し割高ですが、その便利さから人気があります。自分でベッドやテーブルなど購入したくない、最初から住むのは期限つきだとわかっている入居者にはありがたいですね。
そういうところに設置されている家具は、大家さんが自宅で使わなくなった年季の入ったもののこともあり、狭いワンルームなのに、猫足の椅子やラリック風ランプが置いてあったりしておもしろいです。