子育てが一段落する40~50代は、新しく仕事を始めたり、転職を考えたりするにはいいタイミング。とはいえ、資格や経験がない…と、不安になる方も多いのでは? でも、なかには天職を見つけ、自分らしい働き方ができている人も多くいます。コラムニストで国家資格キャリアコンサルタントのおおしまりえさんが、50代で在宅勤務の仕事を始めた女性にお話を聞きました。

A子さん
出社しない働き方を選び、暮らしにもゆとりができたと語るA子さん
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50代、人生初の「在宅勤務」の仕事を開始

近年、年代を問わず「柔軟な働き方」の重要性が言われています。子育てや介護などで、社会との接点がやや遠かった人も、人生100年時代を見据え、自分らしい働き方を見つけていることも。今回はそんな働き方を考えるきっかけとして、50代のA子さんのエピソードをご紹介します。

A子さんは現在、夫と高校生・中学生の子どもの4人暮らし。新卒からIT企業に務めて退職した後は、様々な働き方を経験し、2年前から初めて在宅勤務の仕事をしています。

仕事内容は、「セカンドキャリア塾」という50代以上向けのキャリアスクールで、事務局担当者として業務に当たっています。勤務は自宅のパソコンで行い、年に1回程度の出社やリアルイベントの対応があるといいます。詳しい業務内容や勤務形態について伺いました。

「おもな業務は、キャリアスクール内のワークショップやイベント時の事務対応です。メールやSNSを活用して申し込み手続きやリマインドを行っています。勤務時間は平日のみで、1日3時間、週にして15時間ほどです。1日の流れとして、9時から1.5時間ほど事務作業し、午後は1〜2時間程度の返信対応を行います。この仕事の際の魅力は、自由なスケジュールを組めることだと思っています」(A子さん)

A子さんのお仕事遍歴

自分らしいリズムで働き方を実現しているA子さん。しかし過去の仕事は、今のように事務作業がメインではなかったようです。

「大学卒業後は大手企業でシステムエンジニアとして10年勤務しました。その間に結婚もしました。しかし、ストレスの多い環境に違和感を覚え退職。次の職業は、『食に関する仕事なら一生続けられるかも』と思い、学校に入り栄養士の資格を取得しました。実際に調理の業界に足を踏み入れましたが、想像と現実のギャップにすぐに直面しました。栄養士の職場は大量調理が中心で、個々の人に向けて料理をつくる機会が少なかったんです」

A子さんはさらに方向転換を決意。知人の紹介で料理研究家のアシスタントとして働き始めます。

「料理研究家のアシスタントは雑誌や書籍の撮影サポート、料理教室の準備など多岐にわたります。私の性格にも合っていたようで、20年以上にわたり食の仕事に携わり、今も年数回のお手伝いをしたりします」

子どもを抱く女性
※写真はイメージです

ちなみにこの間、2回の出産を経験し、そのつど仕事の量は調整し、最終的には月4〜5日程度のゆるいペースで続けていたといいます。

「仕事の際は、幼稚園の延長保育を活用し、夫には負担のかからないよう調整をしていました。当時は日給1万円だったので、月4〜5万円ほどの収入です。細く長くアシスタントの仕事は続けながらも、上の子が中学校に入ったタイミングで時間的な余裕ができたこともあり、ハウスクリーニングの仕事を開始しました」

様々な仕事を経験し、自分に合った仕事を考えるように…

「ハウスクリーニングの仕事に魅力を感じた理由は、ひとつは掃除に興味があったことです。また週2回、決まった時間に決まったお宅に訪問してお仕事をするので、予定が立てやすい点がメリットにも感じていました。この仕事は3年続けましたが、思ったよりもキツさを覚えた記憶があります。

1つは、私の担当は決まっているので、お休みを取る際は自分で代わりの人を見つけなければなりません。学校行事などで休む場合は、手続きが面倒でした。もう1つは、拘束時間が思った以上に長かったことです。

ハウスクリーニングの仕事は、移動や待機時間に時給は発生しません。1日2件のお宅を訪問しますが、1時間移動して2時間作業して、1時間移動して、また2時間作業しても、4時間分の時給しかいただけません。『徒歩5分の場所で働けたら、もっと稼げるのにな』と思ったら、割に合わない感じがして辞めることにしました」