今、ブームになっている「平成女児カルチャー」。平成時代を小学生として過ごしていた女性たちが触れていたカルチャー(キャラクターやファッションなど)が令和の今、再評価されています。「ものを捨てられない派」の作家・作詞家の高橋久美子さんも現在40代前半で平成初期に小学生だった世代です。当時からの大切な宝物を捨てられずにいる今、その平成ブームについてつづってくれました。

暮らしっく
高橋久美子さん
すべての画像を見る(全3枚)

今も捨てられない「平成初期の懐かしいもの」

『暮らしっく』の連載がはじまって、もうすぐ5年になる。きっかけは、編集のO野さんが私のある展示にきてくれたことからだった。2019年、私は『捨てられない物展』という妙な個展を開催していた。自分の捨てられないものを展示しただけの、それこそガラクタ市のような。だれも見にこないだろうと思っていたが、口コミで来場者は増えていき会期を延長するほどだった(2024年も第2回目を開催)。

捨てられないもの展
「捨てられない物展」で展示した私物の数々。多くの人が懐かしんでくれた

来てくれる人の多くは、「懐かしい。私も昔もってました」と目を細めた。そこに詰まっていたのは平成だった。O野さんは私のひとつ上で同じく平成初期っ子だ、見覚えのあるグッズたちを懐かしいなとながめたのだろう。

『りぼん』の付録、動物の人形がついたえんぴつ、「ヤン坊マー坊」の塗り絵、星の砂、クラスの女子と交換したメモ帳、中学時代にダビングしまくったカセット、MD、薬局でもらっていたケロヨン…。青森と四国という日本の端と端で平成を過ごした2人だけれど、同じものを持って同時代を生きてたのねえ。今のデジタル感にはない、なんともいえないキラキラ感が平成のキャラクターたちのかわいさだなあと思う。

若い世代もときめく今。捨てなくてよかった

りぼんの付録

展示には、私よりひと回り以上年下の女の子たちもたくさん来てくれた。かなり古いキャラクターだが「かわいいー」と言う。たとえば、コジコジとか、ケロケロケロッピとか、その他、名前のない平成顔をした土産物屋さんのキャラクターたちに釘づけなのだった。

「え、でも、リアルタイムではないよねえ?」

「ないけど知ってます。ゆるくてかわいいんですよね、平成初期のキャラクターって」

インターネットができて久しく、時代関係なく、私たちの頃のキャラクターも並列で好きになるんだなあと思った。そして、今こそ平成のゆるかわいいキャラが求められていると知って私は大変にうれしかったのだった。あー、捨てんでよかったー。