白髪を染めない、通称「グレイヘア」のスタイル。メディアで話題になるたびに、賛否両論飛び交うことも。ここでは、40代半ばでグレイヘアにしたというウォーキングインストラクターで文筆家の朝倉真弓さん(現在50代)が、その経緯と現在の心境を語ります。
すべての画像を見る(全5枚)白髪染めのスケジュールに振り回される自分に嫌気が
私が白髪染めをやめたのは、45歳のときです。
両親ともに白髪が多い家系のせいか、小さな頃から若白髪に悩まされていた私は、大学に入学した18歳から白髪染めを開始。45歳で白髪染めをやめるまで27年間、常に髪を染めていました。
しかし、40歳頃から髪を染めるたびに頭皮がかぶれるようになったことを契機に、「なぜ時間とお金をかけてまで自分の体を痛めつけているんだろう」と考えるようになりました。
当時お世話になっていた美容師さんは、「かぶれるのなら、なるべく薬剤を頭皮につけないようにしましょう」と気を遣ってくれましたが、「染めるのをやめてしまいたい」という私の言葉に対しては「老けて見えますよ」の一点張り。「確かに老けて見えるのはいやだな」と思った私は、そこから数年、悶々と悩み続けます。
最終的にもう白髪染めをやめようと決意した最大のきっかけは「白髪染めにスケジュールを握られている現実」にゾッとしたから。
急に会えることになった友達の誘いなのに「白髪染めをする直前で生え際がみっともない」という理由で心から笑えなかったことにつくづく嫌気が差し、だったらいっそのこと白髪を生かしたスタイルにしたいと思ったのです。
老けて見える現実を上回る「自由な世界」を知った
白髪染めをやめて地毛を伸ばしている途中は、いやな気分になったことも多々ありました。白髪や黒髪に加えて染め残った髪色が混じった途中の姿のみっともなさや、非難されているようにも感じてしまう他人の視線に、何度も気持ちが折れそうになりました。
グレイヘアが完成してからは、美容師さんの予言通り、「染めているときよりも老けて見える」という現実に直面しました。ですが、根本数ミリの白髪を見るたびに悲しくなり、2~3週に1度ペースでリタッチを繰り返していた当時のやるせなさに比べたら、なんと今の気分のヘルシーなことか!
確実に言えるのは、染めていた頃よりも外出が楽しくなり、活動的になったということ。
白髪染めのスケジュールに振り回されることなく、突発的な予定にも気持ちよく対応できる人生は、想像以上に快適でした。
私がグレイヘアにして感じたうれしい変化は、見た目と心、どちらにもあります。主な3つを紹介します。
1:明るい色の服が似合うようになった
髪の色が白くなったせいか、明るい色の服を着てもキツい印象にならなくなったと感じます。柄ものも上品に着こなせるような気が。一方で、グレーやキャメルなどのベーシックな色も、アクセントになるようなアクセサリーを上手に使えば、それほどぼやけずに着ることができます。
グレイヘアにする前は持っている洋服が全部似合わなくなるのではないかと不安でしたが、そんなことはありませんでした。