相手を気遣うこの時代、コミュニケーションへの難しさを感じている人もいるのはないでしょうか。そんな時代でもお互いに「楽しかった」と思えるようなコミュニケーションについて、作家作詞家の高橋久美子さんがつづります。

暮らしっく
高橋久美子さん
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昨今のコミュニケーションの難しさ

人とのコミュニケーションが難しい時代になったよね。と友人が言った。

「ルッキズムとか、ジェンダーレス、ハラスメント、そういうの気にしすぎて当たり障りない話だけで終わってしまうよね」

「まあ、そうだねえ」

でも今までしんどい思いしていた人がラクになったなら、その方がいいと私は思う。ちょっと太ったね、痩せたね、結婚してるの。みたいな会話は心底つまらないと思っていたから。

また別の知人の所属する企業では、年齢、性別、住んでいる場所、妻子の有無を聞いてはいけないという社内ルールがあるそう。飲みニケーションもNGらしい。トラブルを先に回避してのことだろう。何年同僚をやっていてもなにも知らないと言っていた。寂しい時代やなとも思うし、ラクでええなとも思う。

同じクラスだからみんな仲がよかったかと聞かれたら、3年間ひと言も話さなかった人もいたよなあ。私の場合、心を打ち明けることのできた人は、ひとりかふたりだったよ。かたや、クラス全員と仲がいいという人もいたけれどね。

今はどうやって相手と距離を縮める?

ご飯

初めて会う人となんの話をして、どうやって距離を縮めていったらいいのか改めて考えてみた。時事ネタをしても暗くなるばかりなのでねえ。その服すてきですねから始まって、仕事のこと、休みの日なにする? とか、好きな本とか音楽や趣味の話。スピッツが好きという人と、乃木坂46が好きという人では、やはりその人をとりまく様々なことや、ここまでの人生模様が違ってくる気がする。いや、それも思い込みかしら。

学生の頃は、CDや本の貸し借りから友達になることが多かった。あとは部活の仲間はでかいな。だからか、今も私は共通の話題がない方には、つい「何部でしたか?」と聞いてしまう。

「吹奏楽部です」「わー、同じです。楽器なにやってたんですか?」となることもあるし、

「バレー部でした」「かっこいいですね。ポジションは?」

みたいに。これ、表面的な会話と思いきや、やんわりとその人の突きつめた部分を知ることができるのだ。部活やサークルって、少なからず魂を注いできたものでしょう?