じつはコミュニケーションには楽しさもある

コーヒー
すべての画像を見る(全4枚)

そうです、突きつめたことでしか、コミュニケーションの次のステージには行けないと思うのです。大人と呼ばれるようになって久しくなれば、なんかしら突きつめたことがある。近所づき合い程度の挨拶なら、表面をなぞった会話で十分だけれど、それで一時間というのは難しい。仕事や、趣味、親の介護、子育て、きっと本当の意味で会話できるのは、相手のがんばってきたことや突きつめてきたことではないだろうか。

たとえば、私だったら、文筆業だったり音楽をやっているので、作家さんやミュージシャンに会うときは、何冊かその方の本を読んでいくし、音楽を聴いたりライブにも足を運ぶ。自分も体験したり勉強を続けていることでないと会話って難しい。それぞれの経験や知識の上でしか成り立たないと思うのだ。

私はスポーツのこととなるとまるで疎い。相撲は好きだけど、野球は大谷翔平がドジャースにいてどんどん記録を塗り替えていることくらいしかわかってない。野球好きと出会ったらまるで会話がはずまない。しまった、もっと見とけばよかったと思う。

会話は音楽でいうところのセッションだ。それぞれのビートがあって、それぞれのテンポがある。互いに違うということを楽しみたい。知らない世界なら、それを正直に教えてもらうのもとても楽しい。

弁当
愛媛で畑チームのみんなと手づくり弁当をいただく

「故郷はどちらなんですか?」

これは場合によってはよくない質問かもしれないけれど、みんな共通して突きつめたことなんじゃないかなと思う。故郷の食、風景、音、人、文化。その人だけが知っている魅力を聞くことができる。コミュニケーションって、どちらの心も開いて成立するものだと思うけれど、相手の話を聞くところから始まる。インタビュアーになった気持ちでいたい。

帰ってきて、「はー、しんどかった」ではなく「楽しい時間だった」と思えるときは、素直にうれしい。そういう意味では、子どものころよりもコミュニケーションが楽しくなっていると思う。そうして、また会いたいなと思えると(思ってもらえると)最高だな。

本連載をまとめた『暮らしっく』(扶桑社刊)は発売中。

暮らしっく

暮らしっく

Amazonで見る

新刊『いい音がする文章 あなたの感性が爆発する書き方』(ダイヤモンド社刊)も発売中。

【Amazon.co.jp 限定】いい音がする文章 あなたの感性が爆発する書き方(ダウンロード特典:「いい音がする名作」の朗読24分)

【Amazon.co.jp 限定】いい音がする文章 あなたの感性が爆発する書き方(ダウンロード特典:「いい音がする名作」の朗読24分)

Amazonで見る