自分にとっての快適を生む、時間の使い方

──なるほど。「仕事と子育ての両立が大変」という声もよく聞かれますが、尾石さんはどのように優先順位をつけていますか。

尾石:うまくこなしているように見られますが、じつは「できるけどやらないこと」を決めているだけ。たとえば、私は子どもを産んでから買い物はネットスーパーでしかしていません。そのかわりに、趣味や休息、家族との時間は毎日しっかり確保しています。

人は“やるべきこと”よりも“やらないこと”を決めるほうが簡単。だから、あれもこれもしなきゃ! の忙しさにからまっている方は、ぜひ一度自分にとってやらなくていいことを考えてみてください。

もうひとつ、見落としがちなのが「できるけど自分が疲れてしまうこと」。できることだとしても、その後の回復(メンテナンス)に時間がかかることは結果的に自分が疲れてしまいます。夜更かしをやめる、頻繁にSNSをチェックしないなど、自分が疲れることを減らしていくと、心地よい時間の使い方が見えてくるはずです。

──「自分が疲れてしまう」ことは、改めて考えてみると意外と多いかもしれませんね。

尾石:あとは…非常に逆説的な考え方になりますが、そもそも私は仕事と育児を両立させようと思っていません(笑)。

というのも、どんなにがんばろうと思っても人間のリソースは決まっている。子どもに手がかかる時期は仕事に100%の時間を割けないし、ときには子どもを預けなきゃいけないこともありますよね。

でも、それは両立できていないのではなく、あくまでリソースをそのときどきで分けているだけ。罪悪感を抱くことなく、落ち込んだりせず、「仕事50、育児50といったふうに、100しかない限られたリソースの中で自分がどう配分すべきかを決断している」と捉えると心も軽くなるはずです。

●忙しくても自分の機嫌は自分で取るように

──そうやって考えると、子育てでも気持ちの面で余裕ができそうですよね。自身のモチベーションを保つために取り入れていることはありますか?

尾石:どんなに忙しくても自分の心を満たす時間を取るようにしています。幼少期から大好きな本を読む時間、あとは映画鑑賞や旅行も欠かせません。モチベーションを保つためになにかを能動的にするのではなく、仕事に関係のない休息の時間をとるように意識していますね。

これに通ずるのが、小さいけれど確実な幸せを得られる「小確幸(しょうかっこう)」につながるお金の使い方です。私にとっては、2000円の少し上質な靴下やわざわざ取り寄せているホワイトビールがそのひとつ。なくても困らないけど小さな幸せを生む、そんな小確幸のための支払いが日々の生活を彩ってくれています。

からまる毎日のほぐし方

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