2024年もドラマに映画、舞台と大活躍されている天海祐希さん(57歳)。年齢を重ねた今もエネルギッシュな魅力を放つ天海さんに、最新出演映画のこと、毎日の暮らしやお金の使い方について聞きました。
すべての画像を見る(全4枚)「この役を天海祐希で」と言ってもらえることが幸せ
『これからの暮らし by ESSE vol.9』にて凛とした佇まいで表紙を飾ってくれた天海さん。12月公開の映画『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』で、主人公の紅子を演じ話題です。原作は、全世界で累計発行部数1100万部を超える大ヒット作。悩みを抱える人が訪れると、店主の紅子が、その人にぴったりの駄菓子を選んでくれる…という、ふしぎな駄菓子屋さんのお話です。
「私が演じた紅子は、どこか人間を超越したような存在。悩んでいる人には手を差し伸べますが、決して最後まで助けようとはしません。なにかの手助けがあったとき、それをプラスにできるか、マイナスにしてしまうかはその人次第。本当にその人のためになることを考えて、力を引き出そうとする紅子さんは、優しい人だと思います」
映画の中では人間の止まらない欲望や他人への悪意も描かれ、そこにつけ込む存在も出てきます。天海さん自身は、人の欲や悪意について、どのように考えているのでしょうか。
「昔は『こんな役も、あんな役も演じてみたい』という欲は、もっと強かった気がします。でも、今は『この役を天海祐希で』と言っていただけるだけで幸せ。『こう演じてみようかな』という演技への欲は強いですが、それ以外の欲は薄れているかもしれません」
悪意は発した人に戻っていくもの
一方で悪意については、「人からの悪意なんて、受け取らなければいいんですよ」ときっぱり。
「人の悪意はどうしたってなくならないじゃないですか。他人はもちろん、自分自身の中にも、嫌なことがあれば『なによ!』という気持ちが湧いてきます。ただ、60歳も近づいた今思うのは、『発したものは結局自分に戻ってくる』ということ。だから他人の悪意も、受け取らなければ発した人に戻っていくし、自分の悪意もいつかは自分に返ってきます。そう考えて、最近は滅多にないですが『なによ!』と思うことがあっても、その場でムッとして、それで終わりにするようにできるようになりました」
ときには本音もぐっと我慢
3時間を要したという特殊メイクには、「なかなかキツかったですよ」と苦笑しつつ、紅子役での撮影はとても楽しかったと天海さんは振り返ります。
「ずっとご一緒したかった中田(秀夫)監督に声をかけていただいたこともうれしかったですし、上白石萌音さんをはじめ、勢いのある若い方が一生懸命演じている姿を見るのも楽しかったです。子役の方たちが監督のアドバイスを受けて奮闘している姿はとても愛おしく、つい転ばぬ先の杖でいろいろ言いたくなってしまいました。でも、紅子さんではありませんが、手を出しすぎるのもよくないので、そこはぐっと我慢(笑)。ただ、紅子さんと違って私はもっと心配性。すっかり大人になった弟のことを今でも心配してしまうので、『お姉ちゃん、僕ももういい年だよ』と笑われることもあって(笑)。映画は昭和世代には懐かしい雰囲気もありますし、ご家族で楽しめる作品になっていますので、ご覧いただいたあとに、皆さんでいろいろ話していただけたらうれしいですね」