農業を続ける難しさ
すべての画像を見る(全5枚)現代の日本の農業は、東京ドーム何個分とたとえるほどの広い田んぼをシステム化してつくる超大規模農家か、まったくやらない(または家庭菜園程度)という二極化が進んでいるように思う。私たちのような山間地域に多い、中小規模の兼業農家が減っていた。
儲からないうえに、獣害にも合いやすく、いちばん手間もかかるものねえ。米だけ考えても、必要な機械をすべて揃えたら1000万円はかかる。
手作業だけではやれないし、でも機械揃えたら赤字という規模の農家(家がまさにそれ)だった。機械が壊れたタイミングで辞めていく人も多いと聞く。
平野部での一極集中での作物づくりは、理にかなっている反面、高温障害や災害があったとき、今回のような騒動になりかねず危ういなと思った。
システム化し、効率的に作業にしなければ、採算が取れないのも現実だ。前回のエッセイで書いたけれど、この夏、がんばりすぎて帯状疱疹になってしまったもの。
でも、だからこそ、もう少し、農に目を向けて、自分ごととして一緒に考えてもらえたらうれしいなと思う。そのお米は、この炎天下で、だれかが約半年をかけて育てたものだ。
今、私にできること
先日、本のインタビューをしていただいたときのこと、
「生産者も孤独かもしれないけれど、そこに関われない都会の人もじつは孤独ではないか」
ということをインタビュアーさんがおっしゃっていて、ハッとした。たしかに蚊帳の外感はあるのかもしれない。両方を知る私だからできることがあるのではないかと思った。
私の畑は、遠方(主に都会)から手伝いに来る人が多くなってきた。外からの視点はときに、いい風を地域に送り込んでくれた。
自分の畑が、都会に暮らす人にとっても開かれた場になればいいなと思う。その前に、健康に元気でいなくちゃなあ! まだまだ道のりは長い。
高橋久美子さんの新刊『わたしの農継ぎ』(ミシマ社刊)は発売中。出版を記念して、10/3に京都で、10/14に地元愛媛でイベントを開催予定。チケットはこちら。