元マッキンゼーで、女性が自信をもつための服を提供するグラビタス社を経営するリサ・サンさん。グラビタスとは「品格」という意味で、女性が社会でなめられないために必要なものだとリサさんは説きます。今回は、自分に自信がもてない女性に向けて、自らの強みに気づく方法をリサさん教えてもらいました。

悩む女性
自分に自信がもてない…(※画像はイメージです)

大きな声で堂々とするのが自信ではない

グラビタス社の「コンフィデンス・クロゼット」は、魔法を起こすシンプルな空間です。

できるだけ本物の試着室のように感じてもらえるように、ポップアップストアを会議室や講演会の会場に設置。会場の奥の更衣室のラックに洋服をいっぱいつるしていて、入り口の看板には「自分をほめましょう。あなたの“いちばんの強み”を発揮しましょう。一歩踏み出してあなたの自信を形にしましょう」と掲げています。

この空間が多くの気づきをもたらし、変革を起こすのです。自信にはさまざまな種類があることを受け入れましょう。

長年、肩ひじを張って部屋でいちばん大きな声を出すスタイルが、リーダーシップの指標とされてきました。でも、自信がある演技をする必要などありません。これまで長きにわたって過小評価されてきたさまざまなタイプの自信、とりわけ女性らしい強みを認識することが大切なのです。いいことを教えましょう。

「自信は単数形ではなく複数形!」

これは私が創作した定義ではありません。オックスフォード英語辞典の「Confidence(自信)」の定義は「自身の能力や資質を正しく評価することからわきあがる自分を信じる感覚」です。「パフォーマンス的に威張ること」とは書かれていません。

オンラインで「Confidence」や「Gravitas」を検索すると、このテーマの書籍が何百冊もヒットしますが、ほとんどが、昔ながらの狭義のリーダーシップの理想の概念を語ったものです。

私はそれを変えたいのです。時代遅れの考え方を、「自信」の定義を、私たちが日々、あらゆるシチュエーションで使えるものに。自信についての本の多くに欠けているのは、そこなのです。

服が似合わなくても自分を責めない

ひとつ例を挙げると、コロナ禍で、内向的な人が仕事の成功を多く実感できたのは、従来の職場の好感度の規範を守って活動する必要がなかったからです。

歴史的にオフィスの帰属意識を定義してきた世間話が不要であったことで、より公平に評価され、認められ、昇進につながった可能性があるのです。社会が提供する自信の定義に従わなくてもよいのです。

私は会社を立ち上げたとき、体にポジティブなイメージをもってもらうために、さまざまなサイズや体型を画像で見せる、という単なるパフォーマンス的な要素は取り入れたくありませんでした。

私自身がさまざまなサイズを経験し、体重の偏見やぽっちゃり体型へのいじめに対峙してきたこともあり、もっと個人的な深い部分に触れたいと思ったのです。

私たちは、ひとつのドレスをデザインし、パターンに合わせて大きなサイズをあとづけすることをしませんでした。多様な体型とサイズとニーズを考慮して、それぞれの女性に合わせたドレスをつくり上げたのです。商品よりもひとりひとりの女性が優先です。

ほとんどのブランドが単一のフィットモデルを使用しているのに対して(だからブランドによって合う合わないが分かれるのです)、私たちは5種類のフィットモデルを使い、あらゆるサイズと「スポーツ選手」から「砂時計」までの体型パターンを取りそろえました。

目標は、すべてのスタイルを全員にフィットさせることではなく、すべての女性にフィットするサイズをそろえること。最低2種類のパターンがサイズ0から24ワイドで機能することでした(引き続きサイズの範囲を広げるよう取り組んでいます)。

私自身は「洋ナシ」体型で、合わないドレスもあります。しかし、自分を責めたりはせず、自分に合うものを着ています。私はだれもが、服が合わない自分を責めるネガティブ思考を終わらせて、自分に合う服を探す権利をもっていると信じています。

理想は「ひとつ」ではなく「複数」存在することを、積極的に認めて称賛しましょう。自信にはさまざまな形があると受け入れることで、自分らしい美しさを認めることができます。

多くの人は、間違った場所で幸せ探しをしています。アクセスできない部屋の中で自信を見つけるように教えられているのです。