暑さで消耗し、疲れやだるさに見舞われる夏。暑くてやる気が出ない、ついイライラしてしまう…。そんな心のゆらぎは、大きな不調を招く前に対策をしたいもの。漢方において、日々の習慣で健康な体を目指す「養生」は、心と体を整える近道です。そんな養生の考え方で体調トラブルを改善するヒントを、漢方家の櫻井大典さんに教わりました。
夏は本来、活動的になる季節。不調の原因は?
「中国最古の医学書によれば、夏は“陽”の気が強く、春に目覚めた万物が成長する繁栄の季節とされています。つまり、本来はエネルギーが外に向かい、元気に過ごすことが望ましいのです」(櫻井さん)
それなのに元気がなくなるのは、冷たい食事などに偏ることで、五臓のうち消化・吸収を担う「脾(ひ)=胃腸」が弱まるから。また、「脾」は精神を司る役割もあるため、「脾」が弱ると、イライラしたり、思いつめて消耗しがちだそう。
夏の養生ケアQ&A
「心の悩みに目を向けて、少しでも行動を改めることも立派な養生。心と体は影響し合うので、気持ちをゆるめると体も元気になります」そう話す櫻井さんが、心のモヤモヤを解説します。
Q1.暑くてイライラ。子どもに対する怒りの沸点も低いです
A1.「まぁいいか」の一言で、怒りは大体覚めます
暑いと体に不要な熱がたまります。暑さのせいでイライラするのは当たり前。「『まぁいいか』と口に出して、子どもと一緒にスイカでも食べてみて。熱を逃す食材で気持ちもクールダウンできますよ」
Q2.がんばろうと思っても、パワーが出ません
A2.疲れています。温かいものを食べてとにかく早寝を!
疲れがたまって「気」が不足している可能性大。「疲れを回復させないと元気は出ませんし、無理にがんばってもいいことはありません。『気血』を生み出す『脾』をいたわるような温かいものを食べて、早めに就寝を」
Q3.家でSNSを見ていると、他人の夏休みがうらやましく…
A3.向上心に変換を。ときには情報を遮断しても
他人をうらやむ気持ちがあるのは当然のこと。「それをプラスの向上心に変えられるかもしれません。もしSNSを見てストレスに感じるなら、アプリを消して潔く情報の遮断をすることをおすすめします」
ESSE8月号「体と心がラクになる夏の漢方習慣」では、ほかにも夏の体の不調に対する養生法を正気しています。自宅でできるセルフケアを取り入れて暑い夏を乗りきりましょう!