昨今、自分らしくひとり暮らしを楽しんでいるシニアが増えています。京都の中心地でひとり暮らしをする、現役の食養料理・野草料理研究家の若杉友子さん(86歳)もそのひとり。ここでは、若杉さんの最新著書『若杉ばあちゃんの今日も明日も身軽な暮らし』(すばる舎刊)より、「生活費は月5万円もあればおつりがくる」という、シンプルながら豊かな生活について紹介します。
すべての画像を見る(全4枚)サラッと自由に。一年をとおして喜びが尽きない暮らし方
今どきの言葉で言うと「シェアハウスでのひとり暮らし」。ばあちゃんはここ数年、古い学生寮みたいなところに住んでいます。昭和の若者が自炊しながら大学に通ってたような建物で、今もいろんな若い人たちが暮らしています。
「私の部屋は6畳と3畳ほどの小さな台所。今はもう、大きな家や、たくさんの物がなくても快適で、シンプルななかで豊かに暮らす生活が楽しいのです」
みんながびっくりして「どんな暮らしをしてるの? ちゃんとごはん食べてるの?」って心配するけど、ばあちゃんは今最高に幸せ。
春は野草がいっぱい。摘んで食べるからお金がかかることなく、おまけに近所は桜の並木通りで、めちゃくちゃきれい。
暑い夏は近所の神社や道ばたの草取りに行って汗をかき、体を自然に冷やしてくれる野菜を食べて過ごします。
秋はイモ・栗・南瓜(なんきん)の恵みを喜び、敬老乗車証でバスに乗り、神社仏閣の紅葉めぐり。
冬は火鉢でコトコト根菜を炊いたり、みかんを焼いたり。寒さのなかで火鉢を抱っこして「生きている」ことを実感。
一年をとおして楽しみや喜びが尽きないんです。
節約しているわけじゃないから毎日が楽しく、心豊か
家賃は2万円台で、電気代700円未満、ガス代900円未満、水道代1000円未満。食べるものは、いただきものも多いので1万円でおつりがきます。あとは月20回の銭湯代1万円と、たまの外食や孫へのお小遣い。
湯沸かし器、エアコン、扇風機はなく、主な道具はガスコンロ1つに火鉢に七輪、豆炭こたつ。トイレとシャワーは共用。お風呂は無いので、銭湯通いが日々の楽しみ。
「バスで山の温泉地へ行ったりすると1000円ぐらい入浴料がかかるけど、友達や姪たちと行くのはたまのお楽しみ」
「シンプルななかにも心が豊かな暮らしが、どんな場所でもできること。質素で賢約を当たり前に、楽しい毎日が送れることが私の誇りであり宝です。誰もが驚くような質素な暮らしですが、私は節約しようなんてさらさら思ったことはありません。ただ“もったいない”の暮らし方が基本なだけ。大都会でも自然に親しんで暮らしていると、お金はそんなに必要ない、ということなのです」