Q3:気をつけるべき天気は?

A:低気圧の日
B:高気圧の日

<A>

答えはA「低気圧の日」。気象の変化、なかでも低気圧は慢性上咽頭炎の症状を悪化させる可能性があります。とくに台風の接近時などは気圧の変化が激しいため、体調の変化に注意が必要になります。

近年の研究から、耳の奥の「内耳」に気圧の変化を感じ取るセンサーの働きがあることがわかりました。内耳が感じ取った気圧変化の情報は脳に伝わり、自律神経を介して、体を適切な状態に保とうとします。

たとえば、気圧が下がると体の外からの圧力が減り、血管が拡張します。それに対応しようと自律神経の交感神経が優位になり、血管を収縮させようとします。ところが、自律神経のバランスが乱れていると、気圧の変化に対する反応が過剰になり、それが不調を引き起こすと考えられています。

対処法として、耳を指でつかんでくるくると回してほぐしたり、耳を温めたりするのがよいと言われます。また、日頃から日記などをつけて、天気と自身の体調の関係を把握し、体調が悪くなりそうな天気の日は無理をしないことも大切でしょう。

慢性上咽頭炎の治療はアレルギーにも有効

慢性上咽頭炎を治療することは、アレルギー疾患に対しても有効であることが多いです。 ただし、慢性上咽頭炎の治療がなにか特定のアレルゲン(花粉症の場合は花粉のように、アレルギーを引き起こす原因物質)に対して効果があるとは考えにくいのです。

私は、慢性上咽頭炎の治療はアレルギーそのものを起こしにくくする治療だと考えています。 アレルギー疾患の治療では、まずは検査でアレルゲンの特定、つまり、なにに対してアレルギー症状を起こすのかをつきとめて、アレルゲンを遠ざけることが大切です。

花粉症のように季節性のものであれば、原因の発生時期に合わせて、発症予防の対策や治療を行う必要もあります。あるいは、時間をかけて少しずつアレルゲンに対して体を慣れさせていく治療法(アレルゲン免疫療法)もあります。

こうした一般的なアレルギー対策や治療に加えて、慢性上咽頭炎の治療を併用すると、アレルギー反応そのものが起こりにくくなることが期待されます。

慢性上咽頭炎には現在、処方できる薬はありませんが、「EAT」(イート・上咽頭擦過療法)という有効な治療法があります。手法としては単純なもので、塩化亜鉛の溶液を浸み込ませた綿棒を鼻から、咽頭捲綿子(いんとうけんめんし・のどの奥に薬を塗るための医療器具)を口から直接入れ、上咽頭にこすりつけるという治療法です。気になる症状がある方は、EATを実施している医療機関を受診してみてください。

堀田修先生の最新刊『その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった』(扶桑社刊)では、症例とともに、慢性上咽頭炎について詳しく紹介しています。新型コロナ後遺症への治療効果など、最新の症例にも注目です。

その不調の原因は慢性上咽頭炎にあった

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