妊孕性温存療法とは?医師が詳しく解説

医師と患者
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ローズレディースクリニック院長・石塚文平先生に答えていただきました。

●妊孕性温存療法とはどのようなもの?最近注目を集めている理由は?

「妊孕性は、妊娠する能力や機能を指します。がん治療によって生殖機能が影響を受け、将来的に子どもを持つことが難しくなる可能性があります。

そのため、未受精卵子、卵巣組織、精子、胚(受精卵)を凍結保存することで、妊孕性を維持し、将来的に子どもを授かる可能性を保つことを試みる治療法が「妊孕性温存療法」として知られています。

高齢化社会の中で、一部の地域では、この治療に関連する費用の補助金が提供されるなど、関心が高まっています」(石塚先生、以下全て)

●若年女性ががんの治療中でも子どもを諦めたくないと思ったとき、どのような方法をとることが考えられますか?

「がん治療を第一に考えることを前提とし、がん患者が子どもを持つための医療について相談することは可能です。通常、産科と泌尿器科が担当します。生殖医療の専門施設を訪れる際には、がん治療の専門家と生殖医療の専門家が連携をとりあうことが大切です。そのため、がん治療の専門家からの紹介状を作成してもらい、持参することが推奨されます。

将来的に子どもを持ちたいと考えている場合は、がん治療を始める前にそういった希望を主治医に伝え、専門的な知識を持つ医師がいる病院・施設に紹介してもらうことがよいでしょう」

●一般的に費用はいくらぐらいかかりますか?

自費診療となるため、医療機関により大きく異なります。当院での目安は下記になります。

・卵子を育てるために必要な薬剤費用・検査費用 4~10万円
(※検査の内容やお薬の内容や量によって変動します)

・採卵費用 10~15万円

・卵子凍結費用は、卵子の個数により決定 1~12個 約10万円

・将来体外受精を行う為の費用1回 30~50万円