「ゴミ屋敷」の存在が社会問題化しています。漫画家・西園フミコさんが、介護の話をするために疎遠だった父方の祖父母の家を訪ねたのは、20代後半のとき。突然、実家のゴミ屋敷化を知ることになります。そんな西園さんにインタビュー。ゴミ屋敷と家族の深い関係について語ってもらいました。
すべての画像を見る(全8枚)ゴミ屋敷清掃は、単なる“片づけ”ではなかった
――著書『ゴミ屋敷住人の祖父母を介護した話』(扶桑社刊)では、ゴミ屋敷の片づけとそのあとの介護について描かれています。まずは、この漫画を執筆しようとしたきっかけがあれば教えてください。
西園フミコさん(以下、西園):ゴミ屋敷の問題って、どこか人ごとのような気もしますが、じつはだれにでも起こりうる問題。予想もしていないことだから、その現実を見たときに驚いて慌ててしまうと思います。
ただ、“ゴミ屋敷化”を目の当たりにしたからといって、なにも手立てがないわけではありません。そこで、私の実体験漫画を通して、「こういう風な解決方法があった」と一例にしてほしい気持ちや、そこから得た教訓、あとはプロの方から学んだ情報を提供できたらと思って描き始めました。
また、私にとって、ゴミ屋敷清掃は単なる片づけではなく、「家族の負の遺産をひも解く作業」でもあったんです。だから、「ゴミの片づけ」で終わるのではなく、「家族との関係」としての側面も読んでもらえるようにしました。
――漫画でも、ご自身の実家はいわゆる「機能不全家族」だったと書かれていますが、具体的にはどのようなご家族でしたか?
西園:ゴミ屋敷に住んでいた、父方の祖父母は“姫ばあさんと“こじらせじいさん”といった感じ。その息子である父は温厚で人当たりもよかったのですが、それ以外が少しぶっ飛んでいるというか…浮気や借金など、あらゆる約束を反故していくロックすぎる性格。それゆえに、「自分の家」というものにすごく振り回されていてしんどかったです。
「うちは“普通”じゃない」。そう思っていたし、「なんで父親はこうなんだ?」「祖父母の育児のツケを孫の私が払っているのでは…?」という、負の連鎖もあって父方の祖父母と疎遠になっていたというのもあります。