ESSEonlineで2024年2月に公開された記事のなかから、ランキングTOP10入りした記事のひとつを紹介します。

画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。小笠原さんの著作『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社刊)より、ものをも持たずにすっきり暮らしている理由について一部抜粋で紹介します。

※記事の初出は2024年2月。内容は取材時の状況です。

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私が「もの」を持たずに暮らす理由

リビング
小笠原さんの自宅はすっきり
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私の住まいは、東京郊外の団地群の一つで、高齢者向けの3DKの賃貸です。築40年に近いので、防音や防湿は不備ですが、バリアフリー、緊急非常時連絡受信機、転倒防止手すりなどが設置されています。また、最寄り駅からはバスで15分ほどかかりますが、バス乗り場には近く、また家から歩ける範囲内に大小のスーパーがあります。

私の住まいの基準は、とにかく「もの」を最小限にすること。室内が雑多に見えず、すっきりさせるのを理想としています。

働いていた頃は、それなりに家具や服も持っていました。でも、大きな洋服ダンスを処分せざるをえなくなったあるとき、「ものから自由になる解放感」を実感しました。この経験から、徐々に私の持たないルールが固まってきました。

持たずに、知恵を絞ることが生活の活性化になる

小笠原さん

・不要なものを明確にし、なくても困らないものは処分を検討する
・必要なものが出てきたら、まずはあるもので代用する
・すぐに捨てずに、とことん使いきる

なぜものを減らすのでしょうか? それは、ものへの執着から離れたとき、そのあいた隙間を満たしてくれるのが、潔さという心地よさだからです。そしてこの、「持たないで生きる知恵絞り」によって、生活が活性化していくからです。

私が目指す精神の豊かさは、ものに縛られず、もの選びに煩わされず、必要不可欠なものだけで生きる倹約の隣にあるものだと思っています。