音読するときは正しい姿勢で

本書で、古今の名文を厳選した監修者の山口先生は、音読するときのポイントを次のように教えてくれました。

「音読をするときは背筋を伸ばして口を大きくあけましょう。そして、息をゆっくり吐くように読むと効果的です。読む時間帯は朝がおすすめです。音読で心も身体もシャキっとします」

音読のコツが分かったところで、早速音読を始めてみましょう。

●宮沢賢治『雨ニモマケズ』

『もう一度読みたい 国語の教科書音読ブック』の誌面より
『もう一度読みたい国語の教科書音読ブック』より
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まずは、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』。これは、“元気になるテンポの音読”に最適な作品です。しっかり音読をすると、頭と心が活性化。そして、活力がわいてきて、ポジティブな気持ちになります。

<山口先生による音読ポイント>

どんな人になりたいか、と考えたときに、こんなふうに書いて、自分を鼓舞することができたらいいなと思います。宮沢賢治のように、自分でも「雨ニモマケズ」のような言葉を書いて、毎日音読してみてはいかがでしょうか。

●島崎藤村『初恋』

『もう一度読みたい 国語の教科書音読ブック』の誌面より
『もう一度読みたい国語の教科書音読ブック』より

2つ目は、島崎藤村の『初恋』。こちらは、“リフレッシュする音読”として向いている作品です。大きな声を出すと、それだけでストレス解消になります。音読することでさらに気持ちをリフレッシュさせて、心身ともに健やかに過ごしましょう。

<山口先生による音読ポイント>

七五調で書かれた淡い恋。初めて人を好きになったときのこと、覚えていますか? 初めてデートして歩いたときのことは? この道が永遠に続けばいいなと思ったのは? 初恋の思い出を胸に読んでみてください。若返りますよ!

●高村光太郎『智恵子抄 あどけない話』

『もう一度読みたい 国語の教科書音読ブック』の誌面より
『もう一度読みたい国語の教科書音読ブック』より

最後は、高村光太郎の『智恵子抄 あどけない話』です。こちらは、“心が落ち着く音読”になります。心が不安定なときや、心がざわざわして落ち着かないときには、こちらをゆっくりと音読をしてみましょう。自然と心が穏やかになります。

<山口先生による音読ポイント>

都会のビルの中にいると、空の大きさを忘れてしまうことがあります。すると心もしょんぼりしてしまいます。会津の美しい自然に囲まれて育った智恵子は、東京で心を病んだのでした。空の大きさを思いながら読んでみましょう。

新聞で音読の楽しみを見つける

じつは昭和の初めまでは、「新聞」も音読をしていました。というのも、日本で新聞が生まれたのは明治時代で、この時代には、「書生」と呼ばれる学生たちが、多くの家に間借りをしたり下宿をして住んでいました。

書生さんは、中学生だったり高校生だったり大学生だったり。本を読んで勉強をし、時勢を読んで、これからの社会を支えなければならない存在でした。山口先生によると、書生さんは下宿先、間借り先で、そこに住む家族やみんなのために、大きな声で新聞を読んで聞かせていたそう。

今なら、ラジオやテレビのニュースがありますが、そんなメデイアがまだなかった時代、書生さんが新聞を読んで、その代わりをしていたのです。

自分が読めない漢字があることに気がついたり、最新の言葉を知ることができたり、時代の動きをニュースレポーターになったつもりで読むことができ、「新聞を音読することは、とっても楽しいことだ」と山口先生。

また、新聞によっては小説も連載され、毎日少しずつ進んでいく小説を読む楽しみもあります。最近は新聞を定期購読する人も少なくなってきましたが、新聞には、ネット上で読む「ニュース」や「情報」とは違った「文化」が、総合的に盛り込まれています。新聞を音読して、そのおもしろさに気がつけば、あなたは「音読マスター」になるでしょう!

みなさん、「音読」に興味がわいてきましたか? 山口先生は「1分の音読で、あなたは変わります。とっても気持ちのいい力が、あなたの中にみなぎります。1分音読は、人生を変える力なのです」と言います。ぜひ、気になった人は試してみてはいかがでしょうか。

もう一度読みたい国語の教科書音読ブック

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