家族仲がよくても、お金持ちでなくても、相続のトラブルは起きてしまうもの。そんな「相続問題」を税理士の橘慶太さんがステップ別にわかりやすく解説。早めの準備がトラブル回避にになります。今回は「相続税がいくらかかるか」を教えてもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)相続税がいくらかかるか知ろう
相続税は一定額以上の遺産がある人にだけ課税されるもの。その一定額を「基礎控除」と言い、「3000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。遺産が基礎控除額より多い場合は、法定相続分で相続したとみなし、算出された相続税の合計を実際に相続した割合で割り振り、納税します。
●1億円を相続する場合
1億円を妻と子ども2人が相続する場合、基礎控除額は4800万円。残りの5200万円を法定相続分でわけ、妻2600万円、子ども各1300万円に。
上記表から、妻も子どもも取得金額が3000万円以下のため税率はそれぞれ15%になり、さらに左記表の控除額を引き、妻と子ども2人の相続税を合算すると630万円に。この金額を実際の相続割合で分けると、相続税は妻が315万円(実際は配偶者控除で0円)、子どもが各157万5000円かかる。
●母がすべて相続する場合
【もめないポイント】分割の仕方によって相続税を抑えることができる
だれがいくら相続するかで相続税額は変わります。たとえば、父の遺産を母がすべて相続すると節税に。「ただし、母の死亡時(二次相続)に相続税が増える場合もあるので、要注意」
【もめないポイント】控除を上手に利用すれば節税ができる
夫婦の財産は2人で築き上げたものという考え方から、夫婦間の相続には多額の非課税枠があります。「生命保険の保険金にも非課税枠があり、控除を活用すると、相続税対策に」
●知っておきたい控除
・小規模宅地特例
故人が自宅として住んでいた土地は、配偶者か同居の家族が相続すると評価額が8割引に。「あるいは、3年以上借家暮らしの親族が相続しても適用されます」
・生命保険の非課税枠
生命保険の保険金は、「500万円×法定相続人の数」だけ相続税が非課税に。「保険金の受取人は多額の控除がある配偶者よりも、子どもにした方が節税できます」
・配偶者控除
配偶者が相続すると、最低でも1億6000万円まで無税に。「相続財産が莫大な場合は、法定相続分が無税になるため、更なる節税効果を得られます」