離れて暮らす実家の片づけは悩ましい問題です。限りあるスペースになにを残し、いかに使いやすくするか。整理収納アドバイザーの木村充子さんは、これを両親(父80歳、母75歳)と一緒に考えて解決。おかげで、延べ床面積が46.3㎡の小さな住まいが暮らしやすくなりました。両親も大喜びする結果に。

両親の暮らす小さな家
ものがたまる一方の実家の片づけ。年老いた両親も納得する方法は?
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小さな家で暮らす両親と一緒に、収納について考えた

間取り図

筆者の実家は静岡県内の、最寄り駅が無人駅という不便な場所にあります。敷地内には築70年4LDKの母屋と、築40年2DKの離れがあり、筆者の両親(父80歳、母75歳)は、10年前ほど前から離れで暮らしています。ちなみにこの離れ、とても小さくて46.3㎡しかありません。

近く老朽化が進んだ母家は取り壊すことに。そのため、母家にあった必要なものはすべて離れに移動し、不要なものは母家の取り壊し時に一緒に処分しなければなりません。

そこで、なにを捨ててなにを取っておくか、取っておくものを、収納スペースが少ない離れにどのように収納したら使いやすいかを、両親と一緒に考えました。

 

パントリーをつくり、入る分だけ食品をストック

小さな離れには、両親が2人で食べるには多すぎる食品のストックがありました。

クルマがないと買い物が不便な場所。両親がクルマの運転をやめた現在は、買い物は週に一度の宅配と、友人や親せきのクルマに頼っています。必要なものを必要なときに買いに行けない不安から、食品のストックを必要以上に持ってしまう両親の心情を理解し、食品ストックを減らす提案はしませんでした。

 

パントリー

それより問題なのは、食品ストックの収納場所がバラバラで、なにがどこにあるかわかりにくいこと。ストックが十分にあっても、管理できていないので、増えていってしまうという悪循環にもつながります。

そこで、もとは母のアイデアで収納に使っていた玄関の前のスペース(写真)を、パントリーにすることにしました。そして、すべての食品ストックをこの場所に収納することに。

ストックを減らそうというのは、食料に困った経験をしたことのある親にとっては、かなりのストレスです。それよりも、パントリーに入るだけしか食品ストックを持たないというルールを決める方がよいと思ったのです。

キッチンのあちこちに収納していたストックを、ひとつのところに集めたことで、両親も食品ストックが十分にあることがひと目でわかるようになりました。

結果、老いた両親も食品ストックがひと目で把握でき、管理しやすくなりました。このことで、適正な量を維持でき、ムダにため込んでしまうこともなくなりました。