●母猫がいるか・いないかによって対策が変わる
母猫の不在に管理人さんと顔を見合わせていると、「シャー!」という大きな威嚇の声が。
母猫が激しく怒りながら戻ってきました。子猫を守るために、普段の何倍も過敏に神経質になるというのを聞いたことがあったので、下手に手を出して怪我をするのも、人のにおいがついた子猫だけを残して姿を消してしまっても大変です。そこで、なにも見なかったふりをして、床材と畳をもとに戻しました。
どうしたものかと頭を悩ませ、以前お世話になった獣医師さんに相談すると、「母猫がしっかり子育てをしているなら、もう少し様子をみてみんな一緒に保護しましょう」とのこと。
人の手によって無理やり親子を引き離した場合、母猫が子猫を探して激しく鳴いてまわったり、心に傷を負ってしまったりすることがあるそうです。
また、気配を察した母猫が、無理に子猫を移動させようとして怪我をしたり、事故にあったりすることもあるといいます。仮に、母猫が育児放棄をしているようであれば、子猫を保護すればいいだけの話だけど、こういうケースはタイミングが難しいのだそう。
運よく全猫を保護できたとしても、家族みんな一緒に…とはいきません。子猫はすぐに里親が見つかることが多いけれど、外での暮らしが長い大人猫は難しいそうで、不妊・去勢手術を済ませて元の場所へ戻す“TNR(※)”をすることになるというのが現実です。
それが母猫にとっていいことなのか…と、悶々としているあいだにも、子猫が放置される時間が増えていきます。母猫が、人の気配を気にし始めたのかもしれません。
TNRとは、T=Trap(猫を安全に捕まえて)、N=Neuter(不妊・去勢手術をして)、R=Return(元の場所に戻す)活動のこと
●母猫の保護を試みたが…
そこで試みたのが、母猫の保護です。ところが、警戒してなのか一向に姿をあらわしません。このままでは子猫たちが飢えてしまいます。
急きょ床下に潜ると、そこには手のひらに収まるくらいの小さな3匹の子猫の姿。結局、それからも母猫は帰ってこず、TNRの機会は得られないまま。子猫2匹は同じ里親さんにもらわれていき、1匹は小虎と名づけられてわが家で暮らしています。
すべての画像を見る(全4枚)のちにわかったことですが、小虎は母猫の初乳をしっかり飲めていて、お母さんから強い免疫力をもらえたようです。排泄の手伝いもちゃんとしてくれていたようで、わが家にきて初めての大便もお尻を軽くトントンしただけでスルッと気持ちよさそうにすませることができました。
「よいお母さんだったんだね」と思うのと同時に、今でも母猫が望まない妊娠・出産を繰り返しているのでは…と考えると、6年経ってもなお反省と後悔をするのでした。その分、小虎をしっかり愛して幸せにしよう!(こちらが幸せにしてもらっていますが)と改めて思わされます。
猫の出産時期のピークは、3~4月と8~9月頃。もし外で野良猫の赤ちゃんを見かけて、保護しようかどうか迷ったときは、はじめに母猫がそばにいるかを確認してあげるといいかもしれません。