日本では店員さんの「いらっしゃいませ」に返答する人はあまりいませんが、フランスでは違うそう。フランス生活文化研究・翻訳者のペレ信子さんがフランスと日本の挨拶事情や人間関係の違いについて教えてくれました。
フランス人が周囲の人たちとうまくいくためにしていること
すべての画像を見る(全4枚)今年の夏休みはフランスで夫の家族や友人達とたくさん会いました。実際に会ってそばで見ていると、私たち日本人とは違うことに気をつけながら人とつき合っている様子が見えてきました。
●謝るときにフランス人がすること
フランス人と結婚しているのでフランス人とのつき合いは長く、なんでも理解していると思っていました。ですが、自分が意外とわかっていなかったという体験をこの夏にしました。
フランス人の知人とある事柄について話していたときに口論になりました。私は相手の口調が気になり、それはよくないと意見を言いました。そうすると、相手は「それはごめんなさい。でもそれには理由があって…」と自分の言動の理由を説明し始めたのです。謝るなら言い訳しない、という姿勢がインプットされている日本人の私にとってはその説明が言い訳に思え、いさぎよくないと感じました。
反対に、相手から私の言動でよくないところを指摘されたとき、私は「あなたそう思ってたの。ごめんなさい」でだまってしまいました。相手はそれ以上の私の説明を待っていたのにもかかわらず、私はだまってしまったので、不誠実だと感じたと言います。その後お互いによく説明し合って、最後は笑い合って話を終えることができました。
気持ちを話してみないとわからない。謝る、ということ1つをとってもこんなに感じ方が違うのかと、異文化の差を感じた出来事でした。
●迷惑をかけ合って深くなる友情
この夏は、フランスで学生生活を始める末っ子を送り出すために行ったのですが、新生活を始めるにあたり、いろいろとトラブルもありました。夫の両親は70代後半。彼らに迷惑はかけられません。どうしようかと思っていたときに、ある友人が声をかけてくれました。彼女は昔からの友人でしょっちゅう連絡を取っているわけではありませんが、人生の節目にはそこにいる人。今回もなんでも任せて! と言ってくれました。それが社交辞令ではなく、本当に頼れると知っているので、救われました。
これは今までお互いに持ちつ持たれつ本当に負担をかけ合ってきたからなのです。彼らが日本に来たときに私たちの家を数週間使ってもらい、その次の夏には彼女がうちの子どもたちをパリで面倒を見てくれました。迷惑をかけ合うと、さらに親密になれることを実感させてくれる友人です。