映画、ドラマ、舞台に引っ張りだこの高橋一生さんがこの夏挑むのは、劇作家・野田秀樹さんの新作舞台。舞台だからこそ届けられるメッセージ、そしてハードな稽古と公演を乗りきるためのルーティンを伺いました。

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演劇ならではの圧倒的なエネルギーを浴びてほしい

ひまわり持ってしゃがむ高橋一生さん
高橋一生さん
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ひと足早く夏を感じさせるひまわりの花とともに、カメラの前に立ってくれた高橋一生さん。衣装のブルーと、ひまわりのイエローは、6月から始まる舞台『兎、波を走る』のイメージカラーでもあります。

舞台は劇作家の野田秀樹さん率いるNODA・MAPの最新作で、つぶれかかった遊園地で繰り広げられる劇中劇という設定。物語が進むうちに、「不思議の国のアリス」のようなおとぎ話みたいな世界と、現実世界が次第にリンクしていきます。劇場で新鮮な驚きを味わえるよう、ストーリーの詳細は明かされていませんが、そのうえで作品の見どころを伝えるなら…?

「やっぱりエネルギーの強さじゃないでしょうか? 圧倒的なエネルギーを浴びて『なんだかわからなかったけどすごかった!』と感じるだけでも、僕はいい気がするんです。そういう直感的な楽しみ方ができる作品だと思います。僕も今回、舞台のいちばん前に立って、客席のすぐ近くでしゃべりますけれど、そういう臨場感は映画にもドラマにもない、演劇でしか得られないものです」

●絵画を観るように、直感的に楽しんで

韻を踏んだり、同音異義語を多用したりといった言葉遊びも野田作品の特徴。ときに意味をつかみきれないこともありますが、「難しく解釈するより、感覚的に捉えてみては」と話します。

「みんなが同じ答えの必要はないと思うんです。絵画を観るのと同じように、感想は十人十色でいいのではないでしょうか」

同時に「ただおもしろかったね、だけではないメッセージを娯楽の中に内包できるのも、演劇の力」だと高橋さん。今回の舞台を通じて、自分と異なる視点をもつことの大切さが伝わってほしいとも考えているそう。

「どんな問題でも、その人の立場になって考えることができたら、違う景色が見えてきます。たとえばニュースになるような事件も、背景にはとてもつらいことや、そうならざるを得なかった理由があるのかもしれない…と思えるようになる。だれかの『身になる』のは難しいけれど、そこに立ち戻ることができるのも作品の魅力だと思います」