持続可能な社会をつくるための「SDGs」。2030年までの達成をゴールとした「持続的な開発目標」を指し、世界的に注目されています。一見難しそうに感じますが、じつは私たちの暮らしのなかに取り入れられることがたくさんあります。今回のテーマは「テレビ局のエコな変化」。SDGsに詳しいフジテレビの木幡美子さんにつづってもらいました。

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ガチャピンが南極へ。地球温暖化の状況を視察

日本から約14,000km離れた南極大陸。フジテレビの取材班は、昨年秋から132日間にわたり、第64次南極地域観測隊に同行し、どこまでも広がる大氷原、ペンギンやアザラシ、海の中の珍しい魚など南極の貴重な映像を届けてきました。

南極にいるガチャピン
ニュース「イット!」でお天気コーナーを担当するガチャピンも南極へ(©ガチャムク)
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そして、この取材チームに、恐竜の子ども「ガチャピン」も参加! 興味本意で向かったのではありません。自身の祖先である恐竜が地球環境の変化により絶滅したことを憂い、南極がいまどれくらい温暖化の影響を受けているかを自分の目で確かめたいと現地入りしたそうです。さすが、ニュース「イット!」のお天気担当! 詳しくは「南極プロジェクト~地球のミライ~」にて紹介しています。

南極
南極の様子

じつは、南極の昭和基地では、1984年から国立極地研究所による二酸化炭素濃度の観測が続けられています。南極は人の活動による二酸化炭素(CO2)の排出がほぼないため、CO2濃度の長期的な観測に適しているのです。どうやら2022年もCO2濃度は過去最高を更新する見通しです。

CO2をはじめとする温室効果ガスの排出を減らさないと、温暖化にストップがかかりません。国や産業界を上げて、努力はしているものの、その成果はまだでていないどころか、悪化しているのが現状です。

●地球の平均気温は過去最高に!メディアにできることは?

地球の平均気温は、毎年少しずつ上昇していて、世界気象機関(WMO)によると2022年の平均気温は1850~1900年と比べて1.15℃上昇し、過去最高になりました。

1.5℃の約束

これを、なんとか1.5℃に抑えないと地球の未来が危ない、ということなのですが、私たち生活者にこの危機感はどのくらい伝わっているでしょうか? 個人的にはまだまだだと思っています。そこで、テレビや新聞、ラジオ、出版などの多様なメディアが一緒になり、昨年に続いて「1.5℃の約束」キャンペーンを展開しています。

テレビの「番組づくりそのもの」でのSDGsな変化とは?

番組を通じて気候変動の現状やひとりひとりができる対策を伝えるのはもちろんなのですが、そもそも「番組づくりそのもの」において、テレビ各局はどれくらい環境への配慮をしているのでしょうか。

●美術セットは再利用が進んでいます

じつはテレビ局各社は見えないところでさまざまな努力をしています。たとえば、スタジオ番組に欠かせない美術セット。

番組セット

フジテレビでは番組セットの有効活用・再利用促進のために、セットパーツを“共有ユニット”として管理、保管し、複数のデザイナーが使えるようにしています。写真のスタジオセットは、2021年3月に放送した「EXITの未来を本気で考える~フューチャーランナーズSP~」のときのものですが、再利用のセットパーツに、廃棄される花(ロスフラワー)や廃棄布からつくったクロスをあしらっています。絵は障害者アートです。

以前は、番組セットをつくっては壊し、大量のゴミを出していましたが、今はこの方法で、番組セットに関する材料やコストの無駄が少なくなり、限りある資源の有効活用につながっています。